
フランク・ケイン
ドバイ: 国際通貨基金(IMF)の最新評価によれば、サウジ経済は、「ビジョン2030」戦略によってコロナ不況を克服しつつあり、来年の成長率は5%近くまでの上昇が予測される。
IMFは、サウジの経済回復について好意的な予測をする中で、「新型コロナウイルス危機に対して政府が迅速かつ決然と反応した。『ビジョン2030』改革が、コロナ禍の中で経済を推進させるのに重要な役割を果たしている」と分析した。
2021年の国内総生産(GDP)成長率は、2.1%の予測で、これはサウジのみならず世界的に経済活動が打撃を受けた昨年から6.2%の上昇となる。そして来年には、急激なV字回復で4.8%にまで達するとしている。
「経済回復は進んでおり、失業率は低下し、消費者物価上昇率は緩和している」と分析する。
将来的な成長の重要な鍵として注目される非石油部門の成長率は、今年が3.9%、来年が3.6%と、プラス領域への回復が見込まれている。
石油部門のGDPについても、「OPECプラス」産油国同盟の減産が終了し、原油価格の急騰を多くの専門家が予測していることから、来年は6.8%にまで上昇するとの予測だ。
サウジの金融部門を特に取り立てて評価し、「金融部門は引き続き規制や監督が良好に実施されており……株式市場や債券市場の改革も素晴らしいペースで進んでいる。外貨準備高は引き続き十分な水準にある」と述べている。
サウジの政策決定者には改革の加速を促しており、「強く、持続的で、包括的な、環境に配慮した成長を実行するために、引き続き構造改革を実行すべきである」としている。
IMFはまた、経済への民間企業の関与を推進する近年の政策的取り組みにも賛同を示し、「公的組織の介入が、新たな分野やリスクを伴う分野への参入を渋る民間企業を後押しすることになる。ただし、これは慎重に実行する必要がある」と述べている。
モハンマド・アル・ジャダン財相は、今回の報告書は、世界的な危機の中にあってもサウジ政府が良好な結果を出したことを物語っていると述べた。
「こうした結果は、新型コロナウイルスによる影響、原油価格の変動、急激な経済変動、世界的な需要の低下、経済後退など、サウジ政府が立ち向かってきた諸々の困難の中で達成されたのです」と財相は述べた。