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サウジアラビアと世界銀行、世界の観光業向け基金として1億ドルの出資を約束

サウジアラビアのアル・ウラー近くにある古代遺跡マダイン・サーレハ(ヘグラ)の上空を熱気球が飛ぶ。(Shutterstock)
サウジアラビアのアル・ウラー近くにある古代遺跡マダイン・サーレハ(ヘグラ)の上空を熱気球が飛ぶ。(Shutterstock)
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27 May 2021 11:05:49 GMT9
27 May 2021 11:05:49 GMT9
  • 包括的観光国際基金(International Fund for Comprehensive Tourism)は、世界の観光業の成長を支援することに特化した初めての世界的基金となる
  • 観光部門がCOVID-19危機からの回復を模索する中、業界のリーダーたちは現在他の手段も講じている

ザイド・カショギ

リヤド:リヤドで開催された2021年観光回復サミットの開会スピーチで、サウジアラビアのアーメド・アル・ハティーブ観光相が、サウジアラビアは世界銀行と提携して包括的観光国際基金設立のために1億ドルを出資する約束をした。

「これは、世界の観光業の成長を支援することに特化した初めての世界的基金となる」とアル・ハティーブ観光相は言う。

今なお終息を見ないコロナウィルス(COVID-19)のパンデミックは観光業に大きな打撃を与えた。観光部門が健康上の危機的影響からの回復を模索する中、業界のリーダーたちによって観光部門の回復を促進するための手段が講じられている。

「持続可能性、受容、協働」こそが世界の観光業の回復努力を左右する3つの最重要原則だとアル・ハティーブ観光相は確信する。 

「サウジアラビア王国がすでにこれらの原則に基づいて行動していることを誇りに思う」と彼は言う。 

「新たな方向性として、我々は自国の豊かな自然と文化の遺産を保護し、持続可能性の新たな水準を設けることを優先事項としている。我々の一大プロジェクトは、自然の中でのアドベンチャーと文化的見どころを融合させて最高レベルの環境水準を保つことだ」

NEOMはサウジアラビア北部にある都市で、人や物の輸送の自然なあり方だけに依存してあらゆる種類の炭素排出を削減させることを試みる初めての都市となる。紅海プロジェクトは、国内電力系統網と一切接続されていない「クリーンエナジー」をエネルギー源とする最大の世界的集客地となることを目標としている、とアル・ハティーブ観光相は言う。

さらに、同観光相は最近サウジグリーンイニシアチブを発表し、次のように語る:「このイニシアチブはサウジアラビア国土の30%以上を保護し、100億本の樹木を植林することによって我が国の貴重な自然遺産を拡充させていく」

同観光相によると、海外からのサウジアラビア訪問者数はパンデミックの影響で2020年に74%減少し、世界の国内総生産(GDP)に対する観光収入の割合もほぼ半減し、世界全体で6千万以上の職が失われたという。

サウジアラビアはG20議長国として初めて民間部門の観光イベントを主催し、議員らと協働して観光業の将来に向けた戦略を固め、パンデミックに対する迅速な対応策を策定した。

「全世界で5.5兆ドルに及ぶ観光業界の損失が出ている」と観光相補佐、行政・戦略担当のハイファ・ビント・ムハンマド・アール・サウード王女がパネルディスカッションでそう述べた。

「サウジアラビアでは言い方を変え、観光業においては『職』とは言わずに『キャリア』という言い方をする」と彼女は言った。

パンデミック中、世界の観光業界で次々と失業者が出ていた中、サウジアラビアでは一時3万5千の職が生み出された、とハイファ王女は言う。さらにサウジアラビアでは、国内観光に重点をシフトすることによって消費者支出が33%増加した。

2020年の夏だけでも総額139億サウジ・リヤル(37.1億ドル)の支出があり、ハイ ファ王女は次のように述べた:「国内観光の推進を図り、国内のコミュニティーに着目した」

サウジアラビアでは海外渡航が5月17日に再開した。先週、毎年行われるアラビアントラベルマーケットで、サウジアラビア観光局のCEOファード・ハミダディン氏が、予防接種普及率70%達成を目指している国として今年の第4四半期がサウジアラビアの観光業界のターニングポイントとなると述べた。

サウジアラビアは2019年9月から国際観光の門戸を開き、以来多くの大規模プロジェクトを発表して訪問者を引き寄せてきた。5億3千万ドルの資金を投入してサウジアラビア全国の主要観光地を開発するプロジェクトもその一つだ。リヤドは経済を近代化し石油依存から脱却することによって、GDPに対する観光部門収入を3%から10%に増やすことを目指している。

市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルは3月に、サウジアラビアへの訪問者による支出額は2025年までに253億ドルに達し、パンデミックによるインパクトから回復できるだろうと予測している。

国連世界観光機関(UNWTO)が2020年を「観光業界史上最悪の年」と呼んだにもかかわらず、サウジアラビアの国内観光はパンデミック期間中、予想を上回る伸びを見 せた。

UNWTO の12月の数値を見ると、サウジアラビアの観光地は海外からの観光客が1月から10月までの期間に2019年の同期間よりも9億人減少し、前年同期比で72%の減少だった。

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