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G7会合で「歴史的な」国際的法人税協定への期待が高まる

2021年6月4日、イギリスのロンドンのランカスターハウスで、G7首脳サミットを前にしたG7加盟国全体の財務大臣会合で一緒にポーズを取る日本の麻生太郎財務大臣とパオロ・ジェンティローニ経済担当欧州委員。(資料写真/ロイター通信)
2021年6月4日、イギリスのロンドンのランカスターハウスで、G7首脳サミットを前にしたG7加盟国全体の財務大臣会合で一緒にポーズを取る日本の麻生太郎財務大臣とパオロ・ジェンティローニ経済担当欧州委員。(資料写真/ロイター通信)
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05 Jun 2021 06:06:36 GMT9
05 Jun 2021 06:06:36 GMT9

先進国G7各国の財務大臣は5日、多国籍企業、特に大手テック企業に対し、パンデミックで大打撃を受けた国庫により多くの税金を支払わせることを目的とした、国際的な最低法人税率の設定を支持することを発表する見込みだ。

AFP通信が入手した共同声明の草案によると、世界の先進7カ国の財務省トップと中央銀行総裁は、米国が後押しする税制案に対して「強い支持」と「高いレベルの野心」を表明する予定だ。
フランスのブリュノ・ル・メール経済相は4日夜、記者団に次のように語った。「明日合意が得られれば、歴史的な前進となるだろう」。

また、7月に財務大臣会合の開催が予定されているG20にも「相当の勢いを与える」と、同大臣は述べた。

イギリスのリシ・スナック財務大臣は4日、2日間にわたる会議の初日の議長を務めた。この会議は、新型コロナウイルスの制限が緩和されたことを受けて対面式で行われ、日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの財務部門のトップが参加した。

今回の協議は、6月11日からイングランド南西部のコーンウォールで開催され、より幅広い議題を扱うG7首脳会議に向けた地均しだった。アメリカのジョー・バイデン大統領は、1月に就任して以降初となる外遊で、この会議に出席する予定だ。

大手テック企業のような多国籍企業が利益を上げるために制度の抜け穴を利用できる状態を制限しようとするアメリカ主導の計画の裏で、世界中の経済大国がコロナウイルスのパンデミックの影響にあえいでいる中、特に機運が高まっている。

「危機以前は、理解が得られにくかった」と、あるヨーロッパの関係筋がAFP通信に語った。「危機以降は、同意を得るのが難しい」。
法人税は、世界の財政改革に向けた2本柱のうちの1つであり、もう1つは、各国が海外に本社を置く多国籍企業の利益に課税できるようにする「デジタル税」だ。

「複雑でグローバルなデジタル経済においては、1920年代に大部分が設計された税制に頼り続けられないことがますます明らかになっている」と、スナック大臣は冒頭発言で述べた。

「世界はこれに気付いていると言ってもよいだろう。そして、これからの数日間で我々全員が合意できる内容に、世界の人々は大きな期待を寄せていると私は思う」。

共同声明の草案によると、大臣らは、気候変動や社会の不平等に対処しながら、経済回復を促すために「必要な限り」「政策支援の維持」つまり刺激を継続することも表明する予定だ。

さらに、全世界で「新型コロナウイルスワクチンへの公平で安全かつ安価なアクセス」を促進する予定だ。

また、ビットコインなどのデジタル通貨に対する規制という、論点の多いトピックも議題になる予定だ。

バイデン大統領は、経済協力開発機構(OECD)およびG20との交渉で、15%の統一的な最低法人税率を求めている。

同大統領の提案はこれまでのところ、フランスやドイツなどの国々や国際通貨基金から幅広い支持を得ている。

フランス、ドイツ、イタリア、そしてG7非加盟国のスペインの財務大臣は4日、合意は「目前」だと宣言した。

「我々は多国籍企業に公平な額を支払ってもらうチャンスを得ることになる」と、フランスのル・メール財務大臣、ドイツのオーラフ・ショルツ財務大臣、イタリアのダニエレ・フランコ財務大臣、スペインのナディア・カルビーノ財務大臣が、ガーディアン紙の中で述べた。

「4年以上にわたり、フランス、ドイツ、イタリア、スペインは、21世紀にふさわしい国際税制の構築に協力して取り組んできた」と、4大臣は付け加えた。

「今こそ合意の時だ」。

フランスのル・メール大臣はロンドンで記者団に対し、バイデン大統領が提案した15%は「最低のラインであり、我々にとっては出発点だ」と語った。

G7やG20のパートナーと同様に、フランスは「より野心的な水準の課税」を望んでいると同大臣は語り、現在のパンデミックの危機は「脱税行為、つまり、可能な限り低い課税水準へと向かう競争が行き詰っている」ことを示していると述べた。

しかし、アイルランドはバイデン大統領の計画に「重大な懸念」を表明している。同国の12.5%という税率は世界最低水準の1つであり、フェイスブックやグーグルなどの大手テック企業がアイルランドをヨーロッパ事業の拠点にすることを促している。

イギリスに拠点を置く反貧困団体オックスファムは、バイデン大統領の提案した15%は低すぎると主張し、同慈善団体のフランス担当の上級政策担当役員クエンティン・パリネロ氏は、AFP通信に対し、具体的な税率を定めない合意は「本当に失敗する」と語った。

賛成派は、多国籍企業に最も低い税率を提供できる国を巡って、各国間で競争が起きるのを阻止するために、最低税率が必要だと主張している。

彼らは「底辺への競争」は、病院や学校などの政府の優先政策に回せる貴重な収入を奪うとしている。

イギリスは、世界中の国々がウイルスによって打撃を受けた財政を立て直そうとする中、多国籍企業がその事業活動を反映した額の税金を払うことを望んでいる。

世界中の政府は、新型コロナウイルスによるロックダウンで税収の大幅減に苦しんでおり、同時に経済にテコ入れするために巨額の借金をしなければならなくなっている。

AFP通信

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