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サウジアラビア、仲裁システムを変革し投資を後押し

リヤド市王立委員会では、最大500社の海外企業を誘致し、首都リヤドに地域本社を設立してもらうという目標を設定している。(Shutterstock)
リヤド市王立委員会では、最大500社の海外企業を誘致し、首都リヤドに地域本社を設立してもらうという目標を設定している。(Shutterstock)
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09 Jun 2021 04:06:06 GMT9
09 Jun 2021 04:06:06 GMT9
  • 投資家が好む紛争解決方法とは仲裁だ

ディーマ・アル・クデール

ジェッダ:サウジアラビアの商事仲裁手続きは近年完全な変革を遂げているため、海外からの直接投資が増える可能性は高い。政府は数百ものグローバル企業を誘致してサウジアラビアに地域本社を設立してもらうことを目指している、とアラブニュースの取材にて法律家が語った。

サウジ商事仲裁センター(SCCA)の調査によると、サウジアラビアの商事紛争・裁判外紛争解決手続き(ADR)エコシステムは過去10年間で大きく変化し、国内における企業運営と司法制度の利用方法に改善がみられるという。

裁判外紛争解決手続き(ADR)とは、交渉が頓挫した場合に、裁判に訴えず商事紛争を解決する諸手続きのことを指す。これには、調停・仲裁・和解などがある。ADRは紛争解決の手段として、迅速で費用対効果が高いとの見方もある。

「投資家にとり好ましい紛争解決方法とは仲裁で、仲裁が利用できるとなると、国内外からさらに多くの投資や投資家を引きつける効果が間違いなくあります」とリヤド公務員研修所で法律顧問兼教授を務めるオサマ・ガネム・アル・オバイディ博士がアラブニュースに語った。

SCCAでは、国際的なベストプラクティスを採用し、グローバル企業から信頼を得ている国際連合国際商取引法委員会により統一された仲裁規則に従っています。

オサマ・ガネム・アル・オバイディ博士、リヤド公務員研修所の法律顧問兼教授

アル・オバイディ博士は、コロナ禍でも仲裁手続きに影響が出なかった点を強調し、SCCAが公聴会をオンラインで遠隔実施したことを指摘した。このためコロナ禍による行動制限が理由で手続きに遅れが生じることはなかった。

「SCCAはコロナ禍の間も機能が麻痺することはなく、企業へのサービスや製品の提供を続け、資格を持つ仲裁人や専門家を指名・選任し、手続きや仲裁人の品位・透明性を確保していました」と博士は述べた。

SCCA の取り組みは、1月に発表されたムハンマド・ビン・サルマン皇太子による野心的な「リヤド戦略2030」の成功にも貢献するものとみられる。リヤド市王立委員会では、今後10年間で海外企業最大500社を誘致し、首都リヤドに地域本社を設立してもらうという目標を設定している。企業が拠点をどこに配置するか決定する際、その国の法的エコシステムがカギとなる場合は多い。

「SCCAでは、国際的なベストプラクティスを採用し、グローバル企業から信頼を得ている国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)により統一された仲裁規則に従っています。

さらにSCCAのリストでは、紛争解決に必要な全分野の仲裁人・専門家が網羅されています。仲裁で使用する言語・時間・場所を選択する自由はもちろん、準拠法・仲裁人を選択する自由も企業に与えられています」とアル・オバイディ博士は述べた。

博士はさらに、進展がもう1つある点を強調した。サウジアラビア初の女性仲裁人が任命されたことだ。「上訴行政裁判所により、ダンマンとメッカ地域で2人の女性仲裁人が任命されました。近い将来女性の裁判官を誕生させるうえで、一歩前進したということです」

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