
日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(67)の報酬隠しに関与したとして、金融商品取引法違反罪に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)と法人としての日産の公判が7日、東京地裁(下津健司裁判長)であり、同社の内田誠社長(54)の証人尋問が行われた。内田社長は事件の背景として、ゴーン被告に権限が集中し過ぎたガバナンス(企業統治)上の問題があったと述べた。
内田社長はゴーン被告在任時の社内状況について、「絶対的なカリスマのあるリーダーがあまりに長く君臨し、周りが顔色をうかがっていた。異なる意見を述べることを経営陣が恐れていた」と振り返った。
ゴーン被告に対しては「長年日産に貢献してきたのに、こんなことをしたのは許せない気持ちでいっぱいだ」と述べた。報酬を外部に知られないようにしてまで会社に引き留める必要があったのかとの問いには、「全くその必要はなかった」と話した。
事件後、日産では社外取締役らが経営を監視する形に移行するなど、経営の透明化や改善を図ってきたと説明。「報酬や人事は会議で協議した上で決めている。社長だけで勝手なことはできない」と述べ、同様の事件は二度と起こらないと強調した。
時事通信