
アラブニュース、ドバイ
バーレーンにはさまざまなセクターにおける協業の機会があり、日本とバーレーン双方の観点からは、その中でもフィンテックが最も有望と考えられるとバーレーンの投資促進機関である経済開発委員会(EDB)が述べた。
EDBによれば、バーレーンは、これまでフィンテックエコシステムの成長に向けた銀行分野の知見に投資を行い、オープンバンキングや暗号通貨など、最新の技術に対応する規制をいち早く整えてきた。
「両国ともキャッシュレス社会への移行に注力しており、日本はこれまでに、世界のデジタル変革を推進する原動力となる2つの主要キャッシュレス技術を生み出してきた。」EDBは声明でこう述べている。
EDBの最高責任者であるハーリド・フマイダン氏は、日本企業の存在感がバーレーンで今後高まることに大きく期待していると述べた。
「日本はイノベーターの国です。また、中東地域で初のフィンテック規制サンドボックスなどの先進的な施策を行うバーレーンは、中東の破壊的な新しい技術の試験の場として、事実上高い評判を収めています。」フマイダン氏はこう述べた。
「我が国は、東西の商業的なハブ、または架け橋としての役割を数千年に渡り果たしてきました。現在は、革新的な企業が自社のソリューションを中東地域の内外で試し、スケールアップするために格好の地として選ばれる立場にあります。」同氏はこう続けた。
フマイダン氏によれば、バーレーンは、世界銀行の「ビジネス環境の現状2020(Doing Business 2020)」レポートで、世界で最も改善が見られた経済として上位10位以内に選ばれた。
「バーレーンと日本のイノベーションを組み合わせることで、今日の世界を形作るデジタルディスラプションを推進する強力な力が生まれる可能性があります。」同氏はこう述べた。
EDBの声明によれば、日本とバーレーンの外交関係は過去50年以上にわたり続き、1932年にバーレーン産石油が横浜に初入港して以来、商業的なつながりは強まり続けている。
この時以来、両国間の関係はますます深まり、二国間の2018年の貿易規模は15億ドルに達している。
両国間の貿易関係は、炭化水素依存からの脱却を目指し、経済を多様化するバーレーンの取り組みと並行して拡大した。2013年のバーレーン皇太子の訪日時には、石油やガスのみならず、医療、製薬、教育や金融サービスに至るまで、さまざまな分野で13もの貿易協定に署名が行われた。
金融サービスと製造セクターを中心として、20社以上の主要日本企業がバーレーンで営業を行っている。ダイワ・キャピタル・マーケッツ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、横河電機、野村證券、トヨタ、住友商事、SBIファーマ、近鉄エクスプレスなどが主だ。
「バーレーンを選んだ理由は、その優れた、協力的な事業環境にあります。」横河電機の法人マーケティング責任者を務めるクリス・バンベール氏はこう語る。「当社の事業を拡大し、新しいサービスをより広い地域に展開していく上で、最高の地盤となる国です。」
実際に、交通やビジネスの利便性に優れたバーレーンを足場に、成長を続ける15兆ドル規模の湾岸協力理事会(GCC)参加国市場への参入の糸口を掴もうとしている各国企業が増え続けている。
同国の特長のひとつには、中東地域内で最大の市場であるサウジアラビアを始めとし、中東全域へのアクセスが容易な点もある。サウジアラビアとは長さ25kmのキング・ファハド・コーズウェイで接続されており、現在第2のサウジとの海上橋の建設も計画されている。
また、来年の第1四半期には、バーレーン国際空港の新ターミナルも完成予定だ。新ターミナル開設により、年間に対応可能な旅客数は8百万人から14百万人へ、貨物量は年間に1百万メートルトンへと拡大する。
空海陸の交通網の改善を継続することで、バーレーンは地域内の輸送ハブとしての地位を確立してきた。中東地域内での拠点設立をにらむ製造業企業にとっては大きな利点といえるだろう。