
フランク・ケイン、ジャナ・サルーム、リャナ・アルクバリ、アメーラ・アビド
ドバイ/リヤド/ジェッダ:サウジアラビアは、第4次産業革命(4IR)技術を活用して、エネルギー業界を抜本的に変革し、水・食料資源の安全保障を向上させ、気候変動と闘うことを目指していると、上級閣僚らが発表した。
「我々のビジョンは、データとテクノロジーを応用してエネルギー業界を変革することだ」と、サウジのエネルギー相のアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子が29日、リヤドで開かれた4IRのフォーラムの中で述べた。
「サウジアラビアには、この変革を実現へと導く任務を任せられる、若いイノベーターの豊富な人材がある。若者と技術革新の相乗効果により、サウジアラビアは、エネルギー業界のデジタルトランスフォーメーションの原動力になれるだろう」。
4IRは、人工知能、ロボット工学、モノのインターネット(IoT)、遺伝子工学、量子コンピューティングなどの進歩を融合したものだ。4IRは、物理分野、デジタル分野、生物分野の境界を越えるのが特徴の手法だ。
4IR技術をエネルギーに応用することで、サウジは気候変動との闘い方をリードできると、サウジのエネルギー大臣は述べた。
「テクノロジーとエネルギーを融合することで、サウジだけでなく、全人類にも恩恵をもたらせる最も重要な分野は、恐らく、よりクリーンなエネルギーの研究にある」と、アブドルアジーズ王子が述べた。「ここでは、4IRの技術を利用して、エネルギー転換を加速させ、温室効果ガスの排出量削減目標を達成できる」。
エネルギー副大臣のアフメド・アル・ザフラーニ氏もこの意見に賛同し、IoTやブロックチェーンなどの4IR技術の潜在性を強調した。
「これらは、効率を高め、排出を削減する我々の努力を後押しする」と、アル・ザフラーニ氏は述べた。
サウジは巨大なエネルギー資源に恵まれているため、エネルギー安全保障では有名だが、食料や水の安全保障に関しては、同国は課題に直面している。4IRの応用を加えることで、これらの課題への対処が可能になると、サウジのアブドゥルラフマン・アル・ファドリ環境・水資源・農業 大臣は会議で述べた。
アル・ファドリ氏はまた、遠隔センサー、人工知能、ロボット工学などの4IRの応用は、これらの技術が田畑のより良いデータを提供するため、サウジの農業分野も後押しすると述べた。同大臣はまた、これらの応用は、サウジが同国のグリーンイニシアチブの下で数十億本の植樹を行う計画も後押しすることになると言及した。
「我々全員が直面している課題は、パンデミック後の経済回復やエネルギーの信頼性、持続可能性など、世界が今日抱える大きな問題に取り組むことだ」と、アブドルアジーズ王子は述べた。
フォーラムのその他の動きとしては、サウジ・アラムコの技術サービス担当主席副社長であるアフマド・アル・サーディ氏が、同社が長年にわたってその技術、特に油層内の状態を監視する技術を開発してきたと述べた。同氏は、アラムコが技術の分野で大きな進歩を遂げ、世界の同様のエネルギー企業の中で「業界最高」の事業者になったと述べた。
サウジアラビアの公共投資基金が支援する公益事業開発会社ACWAパワーのムハンマド・アブナイヤン会長は、フォーラムで、同社の業務のほとんどが現在デジタル化されており、必要不可欠なメンテナンスはデジタル機能を通じて制御・管理されていると語った。
また、アブナイヤン氏は、エネルギーのデジタル化に民間企業が関わることが極めて重要だと述べた:「民間企業は、公共事業モデルよりも常により良い価値を提供できる」。
ニューヨークのコロンビア大学気候学部のジェイソン・ボルドフ学部長は、CO2排出量の削減に関するパリ協定の目標達成に向けた進捗が遅れていることに警鐘を鳴らした。
「我々は目標達成への軌道に乗っていない」と、同氏は述べた。「我々は排出量の減少をもっと速める必要がある」。
コロンビア大学エネルギー政策センターの研究部長のメリッサ・ロット氏は、サウジアラビアの炭素循環型経済の枠組みの大きな要素である、炭素の回収・利用・貯蔵が、排出削減の取り組み上極めて重要だと述べた。