次期大統領のドナルド・トランプ氏がホワイトハウス入りに向けた準備を進める中、ここ数週間の重要な出来事は、来年1月には米国とイスラエルの外交政策の基調が大きく変化することをはっきりと示している。

イスラエルは、正義と平和を求める世界的な声に無視を続けることはできないことを理解すべきである。サウジアラビアを筆頭に、この地域はここ数年見られなかったほどの団結と積極性を示しており、世界中に影響を与えている。

サウジアラビアの指導者たちの声明や国際サミットの結果を見ると、イスラエルの行動を野放しにできる時代は終わりつつあることが分かる。 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、地政学的な環境はもはや政治的な駆け引きや米国やその他の友好国からの好意によってコントロールできるものではないことをよく理解すべきである。

先月リヤドで開催された未来投資イニシアティブ（FII）サミットで、サウジアラビアの外相であるファイサル・ビン・ファルハーン王子は、力強く明確な声明を発表した。サウジアラビアとイスラエルの国交正常化の可能性について尋ねられた王子は、CNNのベッキー・アンダーソン氏に対し、そのような取り決めは「テーブルの上にはない」と述べた。これは、イスラエルが交渉戦術ではなく、レッドラインとして解釈すべきメッセージである。パレスチナ国家を無視したアブラハム協定の再交渉を求めるムードは、この地域には存在しない。

イスラエルがサウジアラビアやその他のイスラム諸国との国交正常化を依然として望んでいるかどうかは関係ない。指導者たちは、これほど多くの血を流した今、誰も彼らと握手しようとはしないことを理解すべきである。実際、今やイスラエルは、その違反行為に対して罰せられ、国際法の下で責任を問われるべきだというムードが生まれている。

今週開催されたアラブ・イスラム首脳会議において、サウジアラビアはイスラエルの侵略行為に対して、再び公の場で妥協のない姿勢を示した。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ガザ地区、レバノン、シリアでエスカレートする暴力について、言葉を濁さずに語った。皇太子は、イスラエルの行動を「ジェノサイド」と表現し、パレスチナ人に対して引き起こされている惨状を国際社会が認識するよう呼びかけた。皇太子の非難は、サミットの最終コミュニケで満場一致で支持され、パレスチナ問題に対する統一された立場と、2国家解決策へのコミットメントを求めるサウジアラビアの取り組みを強化した。2国家解決策はすでに国連で承認されているため、法的にはイスラエルの承認は必要ない。

数十年にわたり、2国家解決策という概念は、イスラエルとパレスチナ間の平和に向けた世界的な合意事項であった。しかし、年を追うごとに、イスラエルの拡張政策とガザ地区での継続的な苦しみにより、その可能性は損なわれ、この地域は永遠に紛争の瀬戸際に置かれることとなった。しかし、サウジアラビアのリーダーシップは、パレスチナ人だけでなく、地域の安定のためにも、前進への道筋を示している。最近のサウジアラビアの動きは、口先だけでなく真の解決策を求める国々のアライアンスを結成しようとする努力を反映している。リヤドからラバト、カイロからジャカルタまで、イスラム教徒が多数派を占める国々が結束し、パレスチナ人の自己決定権と、何世代にもわたってこの地域を悩ませてきた暴力の終結を主張している。

ネタニヤフ首相にとって、状況はこれ以上ないほど明白である。アラブ・イスラム世界を無視し、欧米の同盟国に訴えかけるという長年の戦略は、今、厳しい試練に直面している。同首相はワシントンの同調的な政権からの支援を当てにしているかもしれないが、それによって自身を守れる範囲には限界がある。米国がイスラエルに対する国際的な行動を無条件に拒否できる時代は終わりつつある。アラブ・イスラム諸国と国際社会の相当な部分が、説明責任と具体的な2国家解決策を強く求めている中、新たな米国の指導者が誕生する。

イスラエルに高まる圧力を理解するには、法的な状況を観察すればよい。ガザ地区での行動に対する法的措置は、すでに戦争犯罪や大量虐殺の容疑で、国際刑事裁判所を含む国際裁判所にまで及んでいる。ネタニヤフ首相とその政府は、このような法的影響を受けない、あるいは強力な同盟国によって国際法を回避できると考えているかもしれない。しかし、サウジアラビアが示したように、潮目は変わりつつある。免罪の時代は終わりを迎えつつあり、パレスチナを巡って形成されつつある世界的なアライアンスは、イスラエルが簡単に無視できるものではなくなっている。

この変化の核心には、ガザ地区の否定できない現実がある。そこで繰り広げられた恐怖は、付随的損害や「自衛」として片付けられるものではない。多くの見解や定義によれば、それは民族の組織的な抹殺であるジェノサイドである。苦しむ子供たち、引き裂かれた家族、瓦礫と化した地域全体の映像は世界中の人々を動員した。イスラエルの近隣諸国を含む世界は「もうたくさんだ」と言っている。サウジアラビアの立場は孤立したものではなく、説明責任を求める声の高まりの一環である。イスラエルは、何らかの結果を招かずに、現在の軌道を維持することはできないだろう。

注目すべきは、ネタニヤフ政権には中東で歴史的な同盟関係を築く機会があったということだ。すなわち、イスラエルが湾岸協力会議（GCC）加盟国およびより広範なアラブ・イスラム世界と平和的に共存する未来が手の届くところにあったのだ。しかし、イスラエルは暴力と人権軽視の道を歩み続けることで、潜在的な同盟国を遠ざけ、国際機関の監視下に自らを置くこととなった。和平か孤立かという選択は依然としてネタニヤフ氏の手の中にあるが、その選択の瞬間は急速に遠のいている。

イスラエルにとって、その答えは明らかである。地域大国かつ宗教的指導者としての影響力を持つサウジアラビアは、和平への道はパレスチナ人の権利を尊重し、真の2国家解決策を追求することにあると明確に示している。イスラエルは、現在のやり方を捨て、もはや「幸運」に頼ることはできないと認識しなければならない。世界的なアライアンスが形成される中、イスラエルには2つの選択肢がある。すなわち、和平への道に加わるか、あるいは国際社会でますます孤立していくかである。

イスラエルの未来は、真の持続可能な平和を受け入れる意思にかかっている。サウジアラビアを筆頭とするアラブ諸国は、このビジョンを支持する用意があるが、正義と尊厳の原則については妥協しないだろう。イスラエルは、新しい現実を直視すべき時が来ている。さもなければ、現状の政策を継続することで得られるものよりも、はるかに多くのものを失うリスクを冒すことになる。

• ファイサル・J・アッバスはアラブニュースの編集長である。X: @FaisalJAbbas