
地方銀行103行の2019年9月中間決算(単体ベース)が出そろった。不正融資問題で業績が大幅に変動したスルガ銀行を除く102行合計の純利益は、前年同期比13.8%減の4355億円。6割超の66行が減益となり、5行は赤字だった。日銀のマイナス金利政策で超低金利が長期化し、地銀の収益が低下し続ける中、融資先の貸し倒れなどに備えた与信関係費用が1067億円と約2倍に膨らんだことが響いた。地銀経営は一層厳しさを増している。
103行合計では、貸出金利と預金金利の差である利ざやの縮小を背景に、資金利益が1兆7882億円と4.1%減少した。本業の利益を示す実質業務純益は国債売却益の計上などから6523億円と6.8%伸びたものの、千葉興業銀行の梅田仁司頭取は「貸出金が一番の収益源。収益環境は厳しい」と語った。
与信費用が1000億円を超えたのは、スルガ銀の特殊要因で急増した前年同期を除けば12年9月中間以来7年ぶり。全国地方銀行協会の笹島律夫会長は「景気が悪いから引き当てを積んでいるわけではない」と釈明。個別行のリスク管理の問題との認識を示した。
ただ、貸出先を求め越境融資した結果、管理が甘くなる例が増えている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安岡勇亮アナリストは「下期は災害の影響による与信費用増加も懸念される」と述べ、業績の下振れリスクがあると指摘した。
スルガ銀の純損益は1000億円超の赤字に陥った前年同期から一転、159億円の黒字に転換した。同行を含めた純利益は11.0%増の4511億円。