
ラマ・アルゴサイビ
リヤド:サウジアラビアは向こう何年間にもわたる水素エネルギー経済の未来のキープレーヤーとなる、とシーメンス・エナジー代表取締役のクリスチャン・ブルッフ氏は語る。
アラブニュースとのインタビューでブルッフ氏は「水素エネルギー経済に必要不可欠な多くの要素が王国内に存在している」と答えた。同氏は「この国には太陽エネルギーという資源があり既存の良質なインフラが整備されている。5年後、10年後を見越してみると、水素エネルギーが重要な役割を果たすことを見込んでいる」とも語った。
水素のグリーンエネルギーはシーメンス・エナジーが力を入れる分野の1つであり、つい最近にもエジプトで輸出を視野に入れた水素基盤の産業を開発することを目指すための覚書を国営エジプト電力持株公社(Egyptian Electricity Holding Company、EEHC)と締結したばかりだ。
ダンマーム・エネルギーハブ(SDEH)の拡張はサウジ王国におけるエネルギーのあり方の変貌と現地のエネルギー産業の技能者人材の増幅への「引き金」となる、とブルッフ氏はいう。
19年前に創建されたSDEHは地域最大のガスタービンおよび圧縮機生産施設である。
「(サウジアラビア国内の)シーメンス・エナジーには650名の従業員がおり、現地化の比率はおよそ40%となっている」と同氏は述べ、「その全員が高い技術を持っており、これは今後も当社が構築を続けるものである」と付け加えた。
ブルッフ氏によると、コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって世界規模で発令された人員の移動制限は各国に高度な技能を持つ労働力を国内に維持することの重要性を認識させた、という。
「よってこの施設はとても重要なのだ」と同氏は語り、「現地の労働力を改善するために運営面で従業員を訓練する機会である。パンデミックからの回復を見据える世界においては顧客に信頼できるサービスを提供することが重要である。設備面では供給チェーンの現地化も行っている」と続けた。
サウジアラビアは2030年までに燃料の50%を再生可能エネルギーから生産することを目指しており、本年初には1%であったその比率の上昇はビジョン2030活動の一環である。
2019年1月に発足した国家再生エネルギープログラムの下で同国は2023年までに27.3ギガワット相当、2050年までに58.7ギガワット相当の再生エネルギー設備を導入する予定だ。これら設備の大半は太陽エネルギーを利用するものだが、一部風力も利用される。
同産業における一般的意見と同様にブルッフ氏はサウジ王国の炭化水素燃料依存からの脱却が将来シーメンスの成長の鍵となる分野であるとみているが、既存の燃料生産工場・技術も依然としてまたこの変革において重要な役割を担うことを付け加えた。
「再生可能エネルギーにおいてこれから多くのことが取り入れられる。それはとてもいいことだが、より困難な課題は現在ある既存の資本をどのようにして守りそれらをどう改善していくかである」と同氏は語る。
「この施設(SDEH)では問題解決に向けてそれぞれのチームを連携させることができるため、この過程において非常に重要な役割を果たすことが可能である。今の世界と未来の架け橋となることができるのだ」という。
その例としてブルッフ氏はシーメンス・エナジーが王国内で開発中の、顧客が少量の水素で既存ガスタービンを運行することが可能になるプロジェクトを挙げる。
「これは既存設備にとってより効率的になりかつ脱炭素化するための架け橋である」とブルッフ氏は述べ、「優れた解決法(スマート・ソリューションズ)と当社製品の効率化、そして現地でより多くの業務をこなすことを可能にすることに焦点を当てなければならないのだ」と締め括った。