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アベノミクス後に広がる格差に直面する日本

OECDが2020年までのデータを基に行った調査によれば、日本の貧困率はG7の国々の中では2番目に高く、OECDの国々の中では9番目に高いという。(AFP)
OECDが2020年までのデータを基に行った調査によれば、日本の貧困率はG7の国々の中では2番目に高く、OECDの国々の中では9番目に高いという。(AFP)
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12 Oct 2021 07:10:03 GMT9
12 Oct 2021 07:10:03 GMT9

アベノミクスが8年間に及んで経済へと刺激を与えた結果、日本の株式市場は活性化し、東京では高級車がよく売れるようになった。しかし、そうして生み出された新たな富は、広く分配されているというよりも、社会の一部の層に集中していることが、データによって明らかとなっている。

そうした分断への対処は、パンデミックによってさらに悪化した収入格差の問題に取り組むと約束している岸田文雄新首相にとっては、最優先で取り組むべきこととなっている。しかし、その具体的な方法は何なのか、岸田首相はほとんど明らかにしていない。

「まるでみんなが貧しくなったようです」と、東京の北東部にある労働者階級の人々が暮らす地区で小さな喫茶店を経営している62歳のアオキ・マサノリさんは言う。

「アベノミクスによって富がトリクルダウンすると財務大臣は言っていました。でも、そんなことはあったでしょうか?ほとんどなかったですよ」と、新型コロナウイルスによって一時的に店を閉めざるを得なくなり、幼稚園のバス運転手としてパートタイムの仕事をするようになったアオキさんは述べた。

東京の保育施設で働いている55歳のコバヤシ・キミエさんは、自分の給料は4年間上がっていないと述べている。同じ業界で働く人々の多くは給料が滅多に上がらないという事実に関して諦めの気持ちでいると、コバヤシさんは言う。

「私の生活が少しでも良くなっているとは言えないです」とコバヤシさんは言う。「政府は税金を集めていますが、そのお金は本当に必要とする人を助けるために使われてはいないのです」

大型の金融および財政政策、そして成長戦略を行い、株価と企業の利益を増加させたアベノミクスだが、データによれば、給料の上昇を通じて世帯の財産を増やすことには失敗しているという。

OECDが2020年までのデータを基に行った調査によれば、日本の貧困率はG7の国々の中では2番目に高く、OECDの国々の中では9番目に高いという。

名目上の賃金は2012年から2020年までの間で1.2パーセントしか増加しなかったと、政府のデータで明らかになっている。日本の世帯における財産の平均額は2014年から2019年の間で3.5パーセント減少しているが、上位10パーセントの富裕層の財産は増加していると、政府による別の調査が示している。

確かに、経済格差はアメリカやイギリスのような国の方がはるかに顕著である。OECDが2020年に経済格差の指標であるジニ係数に基づいて調査した39か国のうち、日本は大体真ん中あたりの順位に位置していた。

一部の日本国民にとって、状況は確かに好転している。フジサキ・マナブさんは、仮想通貨への投資から大きな利益を得て、最近になって700万円のメルセデスベンツを惜しげもなく購入した。

「アベノミクスは私たち投資家に大きな利益をもたらしてくれました。日本銀行が大量にお金を注入して、金融証券の価格を押し上げたからです」と、2児の父親で、来年は都内に2億円の住宅を建てる予定である34歳のフジサキさんは言う。

百貨店の高島屋によれば、1000万円以上するパテック・フィリップの腕時計や、数百万円するバカラのシャンデリアなどへの需要が活発になっているという。

アルファロメオは4月下旬から5月上旬のゴールデンウイーク中に、2000万円を超える価格が付けられた特別モデルを84台売り上げた。これによって、日本は世界で最もアルファロメオが売れた市場となった。

4月から9月にかけてのアルファロメオの売上は、昨年の水準と比べて2倍以上も増えている。フェラーリ、ジャガー、マセラティのような輸入車ブランドの売上も増加していると、輸入車業界に関するデータが示している。

「新しく富裕層になったお客様たちによるぜいたく品への需要は明らかに高まっています」と、新たに富を得た若い実業家たちや、その他の高収入の人々らのことを指しながら、百貨店である伊勢丹でマネージャーを務めるコイケ・タカヒロさんは言う。

岸田首相は、「新資本主義」を形作り、それによって公衆衛生や医療に従事する人々の給料を上げたり、税制によって企業が給料を上げるように促したりするなどして、経済格差を狭めたいと考えている。

しかし、アベノミクスが大量の金をもってしてもできなかったことを成し遂げるのは難しいだろう。すでに、岸田首相は資本利得や配当金の税率をより高くする計画を棚上げしている。

オックスフォード・エコノミクスのエコノミストである長井滋人氏は、短期間の減税措置を提供しても、給料を上げるように企業を説得することはできないだろうと述べた。その代わりに、日本における硬直した労働の仕組みなどといった領域での改革が必要になると主張した。

「まず何よりも、日本は名目成長を再度大きくするだけで問題すべてを解決できるという、アベノミクスの非現実的で楽観的な前提を政治家たちが捨て去らなければならない」と長井氏は言う。

ロイター

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