
アラブニュース
リヤド:CEO、中央銀行頭取、投資家、政治家らの暗号通貨の商品やファンドに対する評価は賛否両論だった。彼らはサウジの首都で開催されているフューチャー・インベストメント・フォーラムの第1日にこの議題について意見交換を行った。
「人類への投資」をテーマにした3日間のフォーラムでは、人工知能、ロボティクス、教育、医療、持続可能性に関する講演や会談が行われている。
火曜日のセッションに出席したアラブ首長国連邦中央銀行のファハド・アル・ムバラク総裁は、サウジ通貨庁(SAMA)は暗号資産に関与すべきではない、その取引者の多くは犯罪者だ、と語った。
そして、デジタル通貨によって銀行システムが破壊されることはないが、入札を規制する集中管理システムが拡大するだろうと予測した。
国際的に取引されているデジタル通貨はビットコインを筆頭に、イーサ、ソラナがそれに続く。
アル・ムバラク氏によると、暗号通貨の管理のあり方に関しては、規制当局は依然として現状に追いついていない状況だという。
一方で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックには、オンライン・バンキングの利用が急増したことを指摘した。「パンデミック前、電子取引は銀行取引の35%に過ぎませんでした。現在は約55%になっています」
カタールに本社を置く投資銀行Qインベストのフセイン・アブドゥラ共同CEOは、暗号通貨商品はまだシャリーア法に準拠しておらず、より深い理解が必要だ、と述べた。
とはいえ、銀行業界のデジタル化に関して、中東は米国とヨーロッパに大きく遅れをとっていると警告もした。
「少しでも早くデジタル化に舵を切った者が銀行業界の勝者になるでしょう」とアブドゥラ氏は言った。
火曜日のFIIのセッションに参加した著名な実業家らは、有力投資家は依然として、金やドルのほうがビットコインよりも安全な投資対象だと考えている、と語った。
世界最大の投資運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOと、ゴールドマン・サックス・グループのデビッド・ソロモン会長兼CEOは、ビットコインよりも米ドルに投資したいと口を揃えた。
ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者兼共同会長であるレイ・ダリオ氏は、ビットコインではなく金を選ぶと述べた。
UAEのムバダラ・インベストメント・カンパニーのCEO兼マネージング・ディレクターであるカルドゥーン・ハリファ・アル・ムバラク氏は、「金でリスクヘッジした」ビットコインであればいいと話した。
先週、ビットコイン上場投資信託の取引に対する楽観的な見方が急速に強まり、暗号業界に15億ドルの資金が流入した。
デジタル資産運用会社のコインシェアーズが月曜日に発表したデータによると、今年のこれまでの流入額は80億ドルに達し、2020年通年の記録である67億ドルを大幅に上回っている。
データによると、連続6週間の流入の大半はビットコインで、14.5億ドルだった。これまでの流入額は61億ドルにのぼっている。
経済、ビジネス、教育、企業の世界から250人以上のベテランスピーカーが参加し、「砂漠のダボス会議」と称されるFIIのディスカッションでは、人類に最大の利益をもたらすことを目的とした投資が主なテーマだ。
ソロモン氏は、景気回復と行動計画の指標は明確にしなければならない、それによって投資を引き付け、資金の移動を促せる、と述べた。
さらに彼は、経済に成長と革新をもたらすには、スモールビジネスへの支援と投資が重要であることを強調した。
「経済参加と成長を促す上で重要な施策は、スモールビジネスを支援し、一人ひとり誰もが成長と改革に貢献できる方法を見いだすことです」とソロモン氏は述べた。
ブラックロックのフィンク氏は、「人間や環境の状態を改善し、長期的な解決策を考えることは欠かせません。政府の責任は重大です」
アル・ムバラク氏は発言の中で、気候変動の課題と闘うために団結することの重要性を強調した。
「気候変動の問題は、誰もがそれぞれの方法で貢献する必要があります。一人で解決できる人はいません。私たちはそれを一緒に解決し、制度として、政府として、市民社会としてグローバルに協力しなければなりません」