
バイコヌール(カザフスタン):日本人億万長者・前澤氏は、国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げ前日の興奮を抑えられないと語った。2023年に予定されているイーロン・マスク氏のスペースXでの月周回というさらに野心的な旅行の前奏曲である。
10年以上ぶりにISSを訪れる宇宙旅行者となるため、ファッション界の大物であり美術蒐集家でもある46歳の同氏は、ここ数ヶ月モスクワ郊外の宇宙センターで訓練を行ってきた。
前澤氏はソユーズ宇宙船で旅立つ。ソユーズは水曜日にカザフスタンのバイコヌール宇宙センターから打ち上げられる。アシスタントの平野陽三氏も搭乗し、旅の記録をつける。ロシア人宇宙飛行士アレクサンダー・ミシュルキン氏も搭乗する。
12日間の宇宙旅行を前にして、宇宙へ飛び立つのは子供の頃からの夢だったと前澤氏はバイコヌールから語った。
「ワクワクしております。遠足を控えた小学生になった気持ちです。宇宙に行けるなんて思ってもみませんでしたが、昔から星空や天体が好きだったので、ついに夢が叶うという気持ちでいっぱいです」と、前澤氏は記者会見で語った。億万長者の前澤氏は準備の様子を日を追って記録してきた。宇宙服のデモンストレーションや、遠心加速器に乗ったことなどをソーシャルメディアに投稿しており、宇宙からさらに投稿を行う予定だ。
100日間に及ぶ訓練の間、前澤氏はパラボリックフライト(放物線飛行)を楽しんだと語った。特別な航空機の中で単時間の無重力状態が作り出されるのである。しかし回転椅子の訓練は辛かったと言う。
起業家の前澤氏は青い航空服に身を包み「WORLD PEACE」と書かれたバッヂをつけていた。氏はトレーナーとのコミュニケーションのためにロシア語を覚えるのには苦労したが、地球に帰って寿司を食べるのを楽しみにしていると語った。
ジェフ・ベゾス氏のブルーオリジン社などの商社が富裕層の顧客を対象とした宇宙旅行の新時代をリードしている中、前澤氏はスペースX社の月旅行での初の民間人旅行者となる。
オンラインのファッション事業「ZOZO」を2019年にソフトバンク社に売却した億万長者の前澤氏は、2023年の月旅行に参加する8人のメンバーを募集している。応募者は医学検査と面接に合格する必要がある。
型にはまった企業文化で知られる日本だが、前澤氏はプライベートジェットやスーパーカー、ツイッターのフォロワーへのお金配り、セレブなガールフレンドなどを好むことで、日本では誰もが知る有名人となった。
前澤氏が宇宙を訪れるのは、日本の民間人としては1990年にミール宇宙ステーションを訪問したテレビ記者の秋山豊寛氏以来のことである。
ロイター