
政府は19日、2022年度診療報酬改定をめぐり、医師や看護師らの人件費などに当たる「本体」部分の引き上げ幅を0.43%とする方針を固めた。本体部分のプラス改定は8回連続。薬の公定価格である「薬価」部分は引き下げ、本体と薬価を合わせた全体ではマイナス改定とする方針だ。
診療報酬改定は22年度予算編成の焦点の一つ。岸田文雄首相は19日、首相公邸で鈴木俊一財務相や後藤茂之厚生労働相と対応を協議した。22日に行われる財務、厚労両相による閣僚折衝で正式決定する。
薬価は、今月上旬にまとまった市場実勢価格との比較調査の結果を踏まえ、1.3%程度(国費ベースで約1500億円)の引き下げを検討。本体は、看護師の処遇改善や22年度から始める不妊治療の保険適用といったプラス要因を見込んだ上で、医療人材の効率的な配置などにより20年度の前回改定率(0.55%)より伸びを抑える。
診療報酬は原則2年に1度改定。税金や健康保険料、患者の窓口負担が財源のため、プラス改定の場合は国民負担が増える。このため、政府は全体ではマイナスとする方向で検討を進め、本体の改定率をどうするかが焦点だった。
日本医師会は「新型コロナウイルスで医療機関の経営は逼迫(ひっぱく)している」などとして、本体部分の大幅なプラス改定を主張。財務省は医療費抑制の観点からマイナス改定を求めていた。
時事通信