• サウジは中東・北アフリカ地域の資金調達額上位3カ国にランクイン

ディーマ・A・クデイル

サウジアラビアは2021年第3四半期に91件のディールから7.69億サウジリヤル（2.05億ドル）を調達し、新規ベンチャーキャピタル投資案件による資金調達額において中東・北アフリカの上位3カ国にランクインした。

スタートアップデータプラットフォームMAGNiTT が発表したKSAベンチャー投資レポートによると、新型コロナパンデミックがビジネス活動に影響を及ぼした昨年の数字に比べ439パーセント増となった。

中東・北アフリカ地域ではエジプトが96件のディールで1位となった一方、アラブ首長国連邦も同期間に91件のディールを記録した。

成長

Monshaat（中小企業庁）コミュニケーション担当バイスガバナーのサウド・アル・サブハン氏はアラブニュースに対し、このレポートについて「2021年の第1～3四半期におけるVC投資総額は3.76億ドルに達し、すでに2020年全体の報告総額の2倍以上となっている」と語った。

同庁は中小企業がGDPに貢献する割合を現在の20パーセントから2030年までに35パーセントへと押し上げることを目標に2016年に設立された。同庁は高成長のスタートアップおよび小規模企業への資金調達支援およびエンジェル投資家との共同投資を行うため、2018年にSaudi Venture Capital Co.を設立した。

同庁は小規模企業への支援強化のために広範にわたる資金調達イニシアチブを行っているとアル・サブハン氏は語る。それらの小規模企業は会社の規模と種類によりさらに分類されるのだという。

融資を促進するファシリテーター

Monshaat自体は融資を行わず、官民セクターからの資金調達をサポートするのだとアル・サブハン氏は語る。

「起業家も中小企業も、当庁のウェブサイトから当庁の主軸の資金調達の機会にアクセスが可能です。当庁では中小企業と官民の融資事業者を結ぶ資金調達プラットフォームを提供しています」と、氏はアラブニュースに語った。

「起業を増やすことは現在世界的にみられる傾向だが、政府の政策レベルで行う必要があります。財政政策決定によりサウジ経済と収益が景気変動から守られるよう徹底しなければなりません。石油以外の収益は特に景気変動の影響を受けます」と氏は語った。

「Monshaatは政府出資機関として、研究を尽くした取り組みや政策を通じて新興企業の成長とエンパワーメントに尽力しています」

同庁は大学と企業の間の連携も推進している。

「アカデミアと企業を結ぶこととして、一般的に世界中の大学はまだ初期段階にある起業家にとってユニークで信頼性の高い環境を提供できることが挙げられます」と氏は語る。

「これらの起業家は継続的な支援や導きに加え、プロトタイプをテストし複数回の（プロジェクトの）イテレーションをスムーズに行う段階を経ることができる環境を必要とすることが多いものです」

「王国中の起業家および中小企業を支援するという当庁の役割を踏まえ、当庁ではこれらのビジネスと大学との橋渡しができるよう継続的に取り組んでいます。現在、キング・アブドラ科学技術大学（KAUST）とのコラボレーションをはじめとするこのようなイニシアチブをいくつか率いています」

紅海沿岸のスワルに位置するある私立の研究大学であるKAUSTは「食・水・エネルギー・環境に関連する世界的課題に対応するため、好奇心に導かれた目標指向の研究」を行うことを目的に、2009年に設立された。

KAUSTとMonshaatは起業家や投資家のためのワークショップやメンターリングセッション等の様々なサービスを提供してきたとアル・サブハン氏は語る。

また、KAUSTは2021 Ebtakir Awardsでも2年連続でMonshaatとパートナーシップを組む。Monshaatがリヤドで毎年開催するこの賞は、王国で最もイノベーティブなスタートアップに脚光を当てるもの。賞金は上位3位の入賞者に与えられ、年間最優秀スタートアップには150,000サウジリヤル、2位に100,000サウジリヤル、3位に50,000サウジリヤルが授与される。

対外投資

Monshaatはまた、外国からの対サウジ投資を誘致する役割も担っている。

「能力のある優秀な国内人材や高成長の莫大な機会が揃い、外国起業家ライセンスの需要が見え始めています。外資所有・登録企業は経済の多様化や国際化にとって不可欠であり、Monshaatはそれら企業の登録、オフィススペース、ビジネス助言に関する支援が可能です」と、アル・サブハン氏は語る。

「この数年間で外国企業にとってサウジアラビアの投資環境は大きく改善しました。透明性が向上し、投資案件の100パーセント外資所有が可能となり、ライセンス取得プロセスが減って非効率な役所の手続きが低減されました」

王国は10月にはユニリーバ、ベーカー・ヒューズ、シーメンスを含む外国企業44社にリヤドでの支社設立を許可した。