
ドバイ:アメリカの空港近くで5G携帯電話技術を運用開始することについて議論が続いているため、長距離航空会社のエミレーツ航空など世界中の航空会社は19日、米国に向かう便を急遽欠航または変更した。
この問題で特に影響を受けるのは長距離ワイドボディの機種であるボーイング777のようで、これは世界中の航空会社に使われている機種だ。日本の航空会社2社は運航スケジュールの欠航・変更を発表するとき、この機種が5G信号の影響を特に受けるとした。
ドバイに本社を置くエミレーツ航空は東西を結ぶ重要な航空会社だが、ボストン、シカゴ、ダラス・フォートワース、ヒューストン、マイアミ、ニュージャージー州ニューアーク、フロリダ州オーランド、サンフランシスコ、シアトル行きの便を、この問題のため19日から休止すると発表した。同社によるとロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントン行きの便は継続する。
エミレーツ航空の発表で、欠航は「米国の特定の空港で計画されている携帯通信サービスの運用開始に伴う運航上の懸念」により必要になったとした。
「当社は運航上の懸念を緩和するため航空機メーカーや関係当局と密接に連携しており、米国便の運航をできるだけ早く再開できることを期待します」と、国営エミレーツ航空は表明した。
アラブ首長国連邦は他の数十カ国と同様に、空港周辺全域で問題なく5G受信エリアの運用開始に成功した。だが米国では、連邦航空局が5G電波のうちCバンド帯が航空計器に影響する可能性があると憂慮している。
5G運用開始で特に関心が持たれているのはボーイング777のようで、これを主力機種とするエミレーツ航空は、この機種と大型のエアバスA380のみを使用している。中東の競合会社であるカタール航空は、米国からの帰国便に「小規模な遅延」が発生すると予測しているが、同社のその他数十の米国航空路は定刻通り運航するとしている。
日本の全日本空輸は、連邦航空局が「5G無線サービスからの電波が航空機の高度計に影響する可能性があると示唆した」と声明で述べた。高度計は飛行機が飛ぶ高さを測定する、飛行のため非常に重要な計器だ。
「ボーイング社はボーイング777を運航する全ての航空会社に飛行制限を通達し、当社はボーイングの通達に基づき米国発着便を欠航あるいは機体を変更した」と全日空は述べた。同社はこの問題のためシカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークなどの都市へ向かう米国行き20便を欠航させた。
日本航空は同様に、5G信号が「ボーイング777に装備されている電波高度計に影響する可能性がある」との情報を得たと述べた。
「当社は安全を確認できるまで米国大陸線でこの機種の使用を控え、機種をボーイング787に変更できない便は欠航させることをお詫びします」と同社は述べた。19日に影響を受けた同社の8便のうち、旅客が3便、貨物が5便だった。
シカゴに本社を置くボーイング社にコメントを求めたが、現在のところ返答はない。
インド航空も「5G通信の運用開始により」シカゴ、ニューアーク、ニューヨーク、サンフランシスコ行きの便を欠航させるとツイッターで発表した。米国航路でも他の航空機を使うことを試みると同社は述べた。
韓国最大の航空会社の大韓航空は、旅客機4機をボーイング777から787に、貨物機2機を747-8から747-400に一夜で変更し、影響を受ける米国の空港では777と747-8の運用を避ける措置を続けると、広報担当のジル・チャンは述べた。
香港のキャセイパシフィック航空は影響を受ける空港で必要なら別の機種を投入するが、同社の米国行きの便は現在のところ影響を受けていないと述べた。台湾の長栄航空も「飛行の安全確保のための緊急時対応策」を取ったと述べ、詳細は語らなかった。
携帯電話会社のAT&Tとベライゾンが今週計画していた米国の空港近くでの新たな無線サービスの延期を決めた後も、欠航は実施される。
連邦航空局は正確で信頼できる高度計を備えた飛行機が高出力5G無線局の周辺で運用することを許可する。だが古い型の高度計を備える飛行機は視界不良の状況で着陸が許可されない。
別の韓国航空会社アシアナ航空の広報担当チェ・ジョンユンは、同社は米国行き旅客便にエアバス機を使っており、貨物便には影響を受けるボーイング機を使っていないので今のところ影響を受けていないと述べた。
しかし、気象条件が不良の時は飛行機の機種にかかわらず影響を受ける米国の空港で自動着陸を避けるよう連邦航空局が航空会社に指示したと、チェ広報担当は述べた。アシアナ航空はそのような気象条件では付近の空港に行き先変更すると、チェ広報担当は述べた。
AP通信