
海外投資家による上場企業への出資規制を強化する改正外為法ついて、国内外の機関投資家らの86%が「日本の株式市場への投資に良くない影響を与える可能性がある」と懸念していることが24日までに、民間団体の調査で分かった。
役員就任や重要事業の譲渡・廃止を求めなければ規制強化対象から除外されるが、「株主提案権を縛る試みだ」と反発は大きい。
改正外為法は11月に成立。海外投資家が武器や原子力、半導体関連など安全保障に関わる上場企業の株式を取得する際、日本政府へ事前に届け出る基準を、従来の出資比率「10%以上」から「1%以上」に厳格化した。
調査は、投資専門家らの団体「日本CFA協会」などが11月15~27日に実施。資産運用会社や銀行、生命保険などの担当者ら115人から回答があった。
改正外為法に反対したのは7割。事前届け出が必要となる出資基準の低さや対象業種の幅広さなどを理由に挙げた。寄せられたコメントでは「(企業に積極的に提言する)『物言う株主』を排除する目的があるのでは」「企業統治(ガバナンス)強化の流れに逆行している」との批判もあったという。
財務省は現在、来年5月ごろの改正法施行に向け、政省令案の策定を進めている。市場からは「規制免除の対象企業などが不明確」「海外への英語での情報発信が不十分で、改正内容が周知されていない」などの指摘も出ている。
Jiji Press