
ダヤン・アボウティン
リヤド: サウジの銀行はデジタル化の未来に大きく舵を切る
サウジの中央銀行のデータによれば、2022年の最初の3か月間に13か所の銀行支店と81台のATMが閉鎖しており、金融セクターにおけるデジタル化の進展がさらに顕著になっている。
サウジビジョン2030に含まれる「金融セクター開発プログラム」に加え、新型コロナウイルス危機が銀行および決済処理業界に影響し、キャッシュレス決済の増加を狙いとするデジタル化の波が一層高まったかたちだ。
今年のこの減少は以前からの傾向の継続だ。
SAMAとしても知られる中央銀行の統計によれば、2017年から2021年の期間に銀行の支店数は124(総数の6パーセント)減少した。
同期間にATMは10パーセント減少している。
一方、POS取引は2022年の第一四半期、2021年の最終四半期と比較して販売価額で15パーセント増加している。
同期間、スマートフォン決済の販売価額は13.6パーセント増加、対して、カード決済の増加は3.6パーセントとなっている。
今年の第一四半期、マダカード決済によるeコマースの売上は22パーセント増加している。
この前四半期比の伸びは過去4年間の傾向に沿うもので、POS取引およびeコマースの総額はそれぞれ、120パーセントおよび380パーセント増加している。
Fintech Saudi(フィンテック・サウジ)
SAMAは2018年4月に「Fintech Saudi」を立ち上げ、金融セクターの多様化を推進している。これは今後数年間におけるフィンテックハブとしてのサウジアラビアの姿を具体化したものだ。
パンデミックの勢いが弱まるとともに、新たなフィンテック企業の顔ぶれがサウジアラビアにおける企業経営の在り方に変化の風をもたらしている。
キャッシュレス決済の円滑化から融資判断への金融データ分析の提供まで、これらのフィンテック企業はより単純でカスタマイズされた代替サービスを伝統的な銀行業務に持ち込みつつある。
Fintech Saudiの報告によれば、2017年から2019年の期間にフィンテック取引額は前年比で18パーセント以上増加し、2019年には200億ドル超に達している。
また、大手金融機関と競合する第1世代起業家数の増加により、2023年までにフィンテック取引額は330億ドルを超えるとしている。
さらに、この報告では平均投資取引規模は270万ドルで、世界平均の730万ドルと比較して成長の余地も大きいと指摘している。
さらに特筆すべきは、金融業界における劇的な変化だ。金融業界はこれまで、金融の安全性を確保するための複雑な規則と規制に支配されてきた。Fintech Saudiはこの問題に果敢に取り組んでいる。
Fintech Saudiは現在、規制について丁寧に説明するとともに、SAMAからの営業ライセンスの取得が容易となる方法を提供して、スタートアップ企業を支援している。
その結果、サウジアラビアではフィンテック部門におけるベンチャーキャピタル投資が飛躍的に増加し、2021年の最初の8か月間に16件の取引が成立し、総額は1億5720万ドルに達した。2021年には新規のフィンテック起業は前年比37パーセント増加している。