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中東は持続可能な開発の道しるべとなりうる

中東および北アフリカ地域は、気候変動と闘う取り組みにおける重要なターニングポイントにある。(ファイル/AFP)
中東および北アフリカ地域は、気候変動と闘う取り組みにおける重要なターニングポイントにある。(ファイル/AFP)
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12 Jan 2024 01:01:20 GMT9
12 Jan 2024 01:01:20 GMT9

中東と北アフリカ地域は、気候変動と闘う取り組みにおける重要なターニングポイントにある。心強いことに、サウジアラビアやUAEなどの国々は積極的に行動を起こし、再生可能エネルギーへの投資を大幅に増やしている。その目的はエネルギーポートフォリオを広げ、化石燃料への依存を減らし、環境問題に取り組むためだ。

MENA諸国が再生可能エネルギーへの投資を増やすことは目下の急務であるが、それは単なる環境への取り組みであると同時に、気候変動がもたらす緊急の課題に対する戦略的対応でもある。地球温暖化が進み、異常気象の頻度が増す中で、この地域が気候変動に対して脆弱であることも含めると、気候変動の影響を軽減し、レジリエンスを備えて繁栄していく未来を実現するため、MENA諸国はサステナブルなエネルギー源への移行を加速していかなければならない。

この地域には気候変動の悪影響がすでに現れている。気温は上昇し、水不足は増加し、砂漠化は進行している。加えて異常気象の頻度も増している。沿岸地域は海面上昇の脅威に直面する一方、乾燥地域では長期に渡る干ばつが起きている。しかしクリーンエネルギーへの投資を増やせば、この地域の国々はこうした悪影響に対するレジリエンスを高めていける。

第一に、この問題に対処するには、温室効果ガス排出量減少に向けた道筋を描くことが重要だ。承知の通り、世界的な温室効果ガス排出の大部分は、特に先進国における化石燃料の燃焼に起因している。再生可能エネルギー源、特に太陽光発電への移行は、各国のカーボンフットプリントを削減する強力な手段となりうる。

クリーンエネルギーへの投資を増やせば、この地域の国々はこうした悪影響に対するレジリエンスを高めていける

マジド・ラフィザデ博士

中東と北アフリカに降り注ぐ豊富な日光を活用することで、各国は化石燃料への依存を減らすことができ、それによって温室効果ガス排出を抑制し、気候変動を食い止めるための世界的な取り組みに貢献できる。

再生可能エネルギーへの移行を加速することが重要となる第二の理由は、この地域が水不足に直面していることだ。水不足の問題は気候変動によって悪化している。クリーンエネルギーソリューション、特に太陽光発電や風力発電は、多量の水を必要とするものが多い従来のエネルギー源に代わるサステナブルなエネルギー源となることで、水とエネルギーの連環に対処できる。

特に太陽光発電は水効率の高いエネルギー源であり、温室効果ガス排出を削減できると同時に、今すでに不足している水資源への圧力を軽減する役にも立つ。一挙両得のこのアプローチは、気候変動のさなかで持続可能な開発を進めるには重要だ。

さらに、太陽光発電で稼働する灌漑システムや気候変動へのレジリエンスが高いインフラは適応能力の構築に役立つ。そうすることでこの地域は、変化する気候の影響への耐性と回復能力を確保できる。

第三に、気候にまつわる不確実性が存在する状況にあっては、エネルギー需要を確実に満たすことを最重要とするべきである。すでに明白になったことだが、気候変動によって、従来のエネルギー源の利用可能性とアクセス性に不確実性がもたらされる。クリーンエネルギーに投資することで、気候関連の混乱に直面するこの地域のエネルギーセキュリティを強化していける。

太陽光発電を例に取ろう。化石燃料に依存する経済には地政学的な緊張や市場の変動がつきものだが、太陽光発電はその影響を受けず、信頼性の高いエネルギーを安定供給できる。安全でサステナブルなエネルギー源への移行は、MENA地域を外部の脆弱性から保護するだけでなく、長期的な安定を作り出す。

クリーンエネルギーへの投資は、環境面で必須なだけでなく、経済の多様化につながる機会でもある

マジド・ラフィザデ博士

第四に、気候変動の経済的影響を見過ごすことはできない。異常気象、サプライチェーンの混乱、農業パターンの変化は、特に伝統的なセクターに依存する経済に深刻な影響を与える可能性がある。

言い換えれば、クリーンエネルギーへの投資は、環境面で必須なだけでなく、経済の多様化につながる機会でもある。太陽光発電を含めた再生可能エネルギーセクターは、雇用創出、技術的イノベーション、そして新産業の開発へつながる道となる。グリーン経済を育てていくことで、MENA地域は気候変動の経済的影響に対するレジリエンスを構築し、サステナビリティーへと向かう世界的な動きにおいて主導的地位を確保できる。

しかし気候変動に対処するには、世界規模で足並みをそろえた取り組みが必要となる。中東は、世界的なナラティブを形成し、協調を促し、国際的な気候目標の達成に貢献することで、国際的な気候外交において重要な役割を果たすことができる。こうすることで世界からの期待に添えるだけでなく、MENA地域を気候変動との世界規模の戦いにおける主要プレイヤーに位置づけることもできる。

要するに、この地域がグリーンエネルギーへの投資を行うことは急務であるが、それは環境問題への対応であるだけでなく戦略上の必然でもある。

幸いなことに、サウジアラビアやUAEのような国々は、エネルギーポートフォリオを広げ、化石燃料への依存を減らし、環境問題に取り組む中で、すでに再生可能エネルギーへの大規模な投資を行っている。温室効果ガス排出量削減から変化していく気候への適応、そして経済的多様化から世界的なサステナビリティーへの取り組みで主導的役割を担うことまで、現在進行中の移行がもたらす恩恵は広範囲に及ぶ。

地域固有の環境課題と豊富な太陽エネルギー資源を持つMENA地域は、持続可能な開発の道しるべとして台頭できる可能性を有している。同時に、クリーンエネルギーの追求は単なる世界的な責任ではなく、レジリエンスを備えて繁栄していける未来をこの地域と地球へもたらすための道筋であることを示している。

  • マジド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学出身のイラン系アメリカ人政治学者。Xアカウント:@Dr_Rafizadeh
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