アリシア・ブラー

カイロ：サウジアラビアには数多くの才能あふれる職人たちがいる。しかし作品を展示して販売する場がない。

それこそ、サウジアラビアの起業家ルルワ・アルソダリーさんが実際に目の当たりにしていた、手作りの土産品や贈り物によって生計を立てようとする母の抱えていた問題と重なるものだった。

「私の母は、手作りのサウジアラビア土産や贈り物を生産する地元のメーカーLiyanoのオーナーなのです」とアルソダリーさんは言う。

「母は自分が手がけるデザインにもっと力を入れたかったのですが、販売に顧客管理、そして経理の仕事にも力を入れていました。だからさまざまなことにまで気を配っていたのです」

母親の起業家精神にヒントを得て、アルソンダリーさんは、ユーザーがタスク管理サービスを共有し、グローバル規模の市場にアクセスできる仮想モールとして機能する、Eコマースプラットフォームを作る決意をする。2016年にその夢が実現。アルソンダリーさんは共同創設者のリーナ・アラウフィさんとともに、Artistiaを立ち上げた。

アルソンダリーさんによると、マーケティング、ロジスティクス、支払い処理などの管理機能の運営によって、同社は職人の間接費用を最大33％削減できるという。

会社の創設以降、サイトのネットワークは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンなどの湾岸全域にわたって、60人から400人の職人を抱えるブランドに成長した。このプラットフォームの訪問者は毎月15,000人という数字が記録されている。

Artistiaの本社はジェッダにあるが、もともとこのオンラインマーケットプレイスは、共同創設者の2人が修士の勉強をしていたボストンに創設される予定だった。

自分たちのビジネスアイデアを売り込んだ後、2人は事業のコンセプトを微調整することができるWomen Innovating Now（WIN）のアクセラレータープログラムを通じ、バブソン大学のCenter for Women’s Entrepreneurial Leadership (CWEL)に入った。

Artistiaは現在、あらゆる種類の手工芸品を提供するマーケットとして役割を担っているが、ファッション、文房具、アクセサリー、ギフト、美容などの商品は特によく売れ、職人の大多数が女性を占めている。

「地元の生産と起業家精神に力を与えたいと、私たちは考えています。それこそが、この事業をしている理由です。女性にも男性にも、みなさんが事業を拡大できるような力をおくりたいと思っています。卸売業者や小売業者ではなく、地元のブランドだけを受け入れることで、それが実現できるのです」とアルソンダリーさんは語る。

Artistiaの社会的企業としての実績は、サウジアラビアのキング・アブドラ科学技術大学（KAUST）が運営するスタートアップアクセラレータである9/10thsを含む、アーリーステージ投資家の注目を集めた。

Artistiaはまた、マサチューセッツ工科大学のEnterprise Forum Saudi ChapterやIE ビジネススクールのWorld Internet of Things（WIOT）プログラムから助成金を受けている。

アメリカのブランド企業Etsyと同様、Artistiaは収益分配の経営モデルで、販売手数料を回収する。

ただ、Artistiaは注文を処理するオンラインショップ店舗、あるいはデジタルストア以上のものを目指す設計がされている。

商品の陳列だけではなく、Artistiaのサイトでは、買い物客が創造的なプロセスを垣間見ることができる、地域の職人についてのプロフィールが掲載されている。

職人は自分のストーリーを共有することで、ただの買い手と売り手という経験を超えた深いつながりを、購入者と作り出すことが可能になる。

Artistiaのサイﾄはサウジアラビアなどで一気に注目を集めている。しかし、Artistiaはまだ道半ばの状態であり、ビジネス上の課題はまだまだあるとアルソンダリーさんは語る。

「起業家として成熟していくためには、特質の組み合わせができるようにならなければなりません。あいまいであることと失敗することに不安を感じない人間である必要があります。それは、自分に自信を持ち、強いビジョンを持つ必要があるということです」と彼女は続けた。

アルソンダリーさんは、Artistiaがグローバルブランドのメーカー、そしてその促進者としての存在になることを目指している。「私たちは世界各国に品物を届けていますが、国際的な顧客が数多くいるという段階にはまだ達していません」とアルソンダリーさんは言う。「グローバル化こそが私たちにとっての最終目標です。私たちが今描くことができる夢としては、それが最大の成功と言える目標です」

このレポートは、Middle East Exchangeのパートナーとしてアラブニュースが発行しています。Middle East Exchangeはムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・イニシアチブとビル&メリンダ・ゲイツ財団によって創設されたもので、アラブ地域の地位を動かす可能性について、UAE首相とドバイ首長のビジョンを伝えることを目的としています。