
岸田文雄首相とバイデン米大統領は23日発表した共同声明で、半導体などの強固なサプライチェーン(供給網)構築やエネルギー安全保障での協力強化を打ち出した。声明は「経済安全保障を強化するためのさらなる協力を追求していく」と明記。次世代半導体の開発を検討する共同作業チームの設立で一致した。
覇権主義的な動きを強める中国や、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する重要物資の依存から脱却するため、競争力を向上させる。
両首脳は、日米が志を同じくする国・地域とともにサプライチェーンの強化を進めると表明。半導体製造能力や、次世代半導体の研究開発、供給不足への対応で協力する。
首相は共同記者会見で、「最先端半導体の開発を含む経済安全保障分野の協力で一致した」と強調。中国やロシアが主な産出国となっている重要な鉱物についても、日米が同志国と協力してサプライチェーンの構築を進める。
エネルギー分野では、液化天然ガス(LNG)などの安定的で十分な供給を通じ、エネルギー安全保障を強化することで一致した。首相はロシアによるウクライナ侵攻で「エネルギー、食料をめぐる状況が大きく悪化している」と指摘。LNGに関しては、先に訪米した萩生田光一経済産業相が、日本企業への融資などを通じて米国による増産を支援する意向を伝えており、協力を深める。
脱炭素社会の実現に向け、次世代原子炉「小型モジュール炉(SMR)」など革新的な原子力技術の開発や世界展開を確認。ウラン燃料を含む原子力サプライチェーンの強化でも協力する。中国・新疆ウイグル自治区の人権問題を念頭に、サプライチェーン上の人権尊重に取り組みやすい環境も整備する。
時事通信