
アラブニュース
ダボス: 食糧価格の上昇など困難はあるものの、中東・北アフリカ地域(MENA)の経済的見通しは概ね良好だ、とサウジアラビアのムハンマド・アル・ジャダーン財務大臣は世界経済フォーラム(WEF)のパネルディスカッションで23日に述べた。
MENA地域の見通しを検討する会議においてアル・ジャダーン氏は、成長の見通しは中期的には「とても良好」だったが、MENA地域を一括りにして評価することについては警鐘を鳴らした。
「一つの国に当てはまるようなこと、または一つの国が直面する困難は、それぞれ同じではないだろう」とアル・ジャダーン氏は言う。「MENAを一括りにしないよう注意すべきだ」
付言して「つまり実際には、たくさんの共通の強みと共通の困難がある」
「その困難は世界中が直面しているものだが、ある地域では実際にMENAよりも深刻だ」
「パンデミック後の回復を原動力にしたエネルギー安全保障、サプライチェーンにおける課題、食料安全保障もまた深刻な問題で、これも地政学的状況を原動力にしている」とアル・ジャダーン氏。
食料価格の上昇が予測されることに言及してアル・ジャダーン氏は付言した「この特定の地域において、MENA地域は小麦の重要な輸入地域であることを思い出しましょう」
「基本的な数字だけを見ると、私たちは世界人口の約6%に当たり、世界銀行は世界の潜在的飢餓の20%はMENAで起こるだろうと述べている」
しかしサウジアラビアでの見通しは「とても健全」だ、とアル・ジャダーン氏。石油資本の国内総生産成長率は今年19%に到達する見込みで、非石油資本のGDP成長率は6%に到達しそうだ、と付言した。
アル・ジャダーン財務大臣は付言して、原油価格の変化はサウジアラビアの財務管理に大きな影響は及ぼさないだろう、さらに付言して、政府系ファンドのソブリン・ウェルス・ファンドに資金を移動させるという当面の計画はない、とのことだ。
今年度第一四半期末のサウジアラビアのインフレ率は1.6%で、年度末には2.1~2.3%に到達する見込みだ、とパネルディスカッションでアル・ジャダーン氏は言う。
「世間はまたもや原油価格だけを見て、起こっていることは原油価格の結果だと信じている」とアル・ジャダーン氏は言った。
「サウジアラビアでこの水準以上に原油価格が上がったことがあった。問題は私たちがこれをどう使うかであって、システムがどう対処する準備をするかだ」
サウジ証券取引所の子会社EDAA(Securities Depository Center Company)は23日、ユーロクリアと提携を結んだとも、アル・ジャダーン財務大臣はパネルディスカッションで発表した。
サウジアラビアのアル・ジャダーン財務大臣の声明によると「この提携が意図するのは、EDAAの直接受託者口座経由でユーロクリア当座預金口座を使い、海外投資家が国内発行債権の決済を可能になることと、国内市場でさらなる相互運用性をもたらすことにある。
ベルギーに本社を置くユーロクリアは、証券取引の決済と証券の保管・資産管理を専門に行う金融サービス会社だ。