
サラ・スファイア
パリ:サウジ・フランス・ビジネスカウンシルのムハンマド・ベン・ラーディン会長は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のフランス訪問に先立ち、サウジアラビアの社会・経済改革アジェンダ「ビジョン2030」は、フランスをはじめ、主要経済国からの外国直接投資の機会を数多く生み出しているとアラブニュースに語った。
前日、ギリシャの首都アテネで貿易交渉を行った皇太子は水曜日の午後にパリに向けて出発した。フランスでは、エマニュエル・マクロン大統領と国内の経済界の代表者と会談した。
サウジアラビアとフランスは強固な経済関係を築いている。国連の国際貿易データベースComtradeによると、2021年にフランスは38億ドル相当のサウジアラビアの物品を輸入し、32億3,000万ドル規模の輸出を行っている。
さらに、フランスはサウジアラビアにとって欧州最大、世界でも第3位の投資国であり、海外直接投資の10%近くを占めている。「この数字は今後数年でさらに伸びると考えられる。『ビジョン2030』が多くの機会をもたらすからだ」とベン・ラーディン氏はアラブニュースに語った。
「フランスの企業は、サウジアラビアへの投資は複雑な面もあるが決して危険ではないことを知っている。そして、投資機会と将来の民営化を成長の推進力ととらえて期待している。観光、輸送、循環経済、石油などの分野で重要なプロジェクトが実際に存在するが、現在進行中の交渉に関しては私が話すことではない」
ベン・ラーディン氏は、「ビジョン2030」が外国投資に大変革をもたらしたと述べた。外国投資については、フランス語でConseil d’Affaires Franco-Saoudienと呼ばれるサウジ・フランスビジネスカウンシル(CAFS)が熱心に推進してきた。
「『ビジョン2030』はサウジアラビアでの事業展開を考えているフランス企業にとって将来性のあるチャンスだ」とベン・ラーディン氏は言った。「貿易と投資に関する法の進化で、新たな外国企業の参入が容易になる」
「フランスは今でもサウジアラビアの欧州における主要なパートナーで、UAE、米国に次いで第3位の実績がある。フランス電力(EDF)、トタルなどが最近発表したプロジェクトでも分かるように、産業投資は拡大し続けている」
さらに、「ビジョン2030」改革アジェンダによるサウジアラビアへの投資誘致と効率化に向けた取り組みで、サウジアラビアはフランスの比較的小規模の企業にとって以前よりもはるかに魅力的な投資先になった。
「よく挙げられるのは、サウジアラビアで以前から活動している大企業、つまりトタル、エンジー、EDF、RATPDev、エア・リキードなどだ」とベン・ラーディン氏は述べた。「だが、『ビジョン2030』は小規模のフランス企業に無数の機会をもたらす」
新たな投資で生まれる付加価値は雇用の創出だ。ベン・ラーディン氏によると、現在、数百人のサウジアラビア人がフランス企業や、サウジアラビア各地の関連企業に勤務しているという。そして、この数は、質の高い労働力が推し進めるサウジアラビア化のプロセスに伴って、増え続けている。
「サウジアラビアの若者は勤勉で、『ビジョン2030』が示す価値観を支持している」とベン・ラーディン氏は言った。
CAFSは、2003年にサウジ商工会議所が最初に設立したビジネスカウンシルのひとつとして、両国の二国間貿易と投資にかかわるセッションを数十回主催し、経済関係の発展に大きな役割を果たしてきた。
ベン・ラーディン氏は、CAFSの目的は、サウジアラビアとフランス間の経済関係を発展させ、促進し、支援することだと述べた。そのため、両国への定期訪問を年に数回実施し、新しい産業分野や地域の開拓、協力の可能性の評価を行っている。
「カウンシルの主な役割は、企業を支援し、既に存在するいくつものチャンスを発見できるように助けることだ。並行して、多くの利点がある法的・競争的な枠組みを強調して訴えている」
「同様に、必要に応じて当局とのインターフェースの機能を果たし、細かい事務手続き上の困難を回避できるようにする。まれではあるが、うまく両国の企業間の緊張を吸収することもある」
ベン・ラーディン氏は、CAFSは円滑化と交流のための組織だと強調した。企業のサウジアラビア進出を促すというより、提携先やターゲットの選択を誘導するのが役割だ。
「サウジとフランスの管理手続きの複雑さは似ている。相談すればコストのかかるミスを防げるので、当団体では友人たちの外国の貿易アドバイザーの助けを借りて、経験を共有している」とベン・ラーディン氏は述べた。「カウンシルはオープンな組織であり、新しいメンバーを喜んで迎える」
何よりも両者の貿易関係を発展させるのは信頼関係だとベン・ラーディン氏は語った。そこで、CAFSは両国の企業が知り合い、関係を構築できるように活動している。また、企業がプロジェクトのための資金を調達し、互いの国に拠点を築くための支援を行っている。
ベン・ラーディン氏は、アル・ウラーと紅海沿岸の観光業の発展と、近年のエンターテインメントセクターの成長が、サウジアラビア進出を望むフランス企業にとって貴重な機会になると考えている。
「まだ両国の数百億ユーロの投資サイクルは始まったばかりだ」