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「石油を武器にはしない」―サウジ、OPECプラスの削減問題で米に反論

OPECプラス加盟国は10月5日、日量200万バレルの減産を行うことで合意した。(AFP)
OPECプラス加盟国は10月5日、日量200万バレルの減産を行うことで合意した。(AFP)
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14 Oct 2022 02:10:15 GMT9
14 Oct 2022 02:10:15 GMT9
  • 英国、石油削減の延期は否定的な結果をもたらすだろうと表明

ワッファ・ワエル

リヤド:サウジアラビアは米国に対し、石油輸出国機構(OPEC)とその同盟国による原油減産の決定を延期することは、世界にとってマイナスだったであろうと述べた。サウジ外務省が声明で発表した。

OPECプラスと呼ばれるこの産油国グループは、10月5日に原油供給量を日量200万バレル、削減することで合意した。

ジョー・バイデン米大統領は、ロシアのウクライナ戦争を抑え込むために、ロシアがエネルギーを売却して利益を得るのを阻止しようとしている。このため、減産決定を「近視眼的」だとし、サウジと米国の関係に「なんらかの結果をもたらす」と言明したものの、バイデン政権が具体的に何を意図しているかは明らかにしなかった。

これに対し、サウジアラビア外務省は、サウジアラビアが国際紛争の一方の側に立っている、または米国に対抗する政治的な理由で減産を支持したという主張は事実に基づいておらず、OPECプラスの決定を経済的な文脈から切り離して考えていると指摘した。

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「サウジは、米政権との継続的な協議を通じて、すべての経済分析により、OPECプラスの決定を1カ月間延期することは、これまでにも提起されてきた通り、経済に悪影響を及ぼすということを明らかにしてきた」と、声明は述べている。

また、先週のOPECプラスによる原油供給削減の決定後に出された、サウジを批判する発言を拒絶した。

同省の声明によると、OPECプラス諸国間の合意は全会一致で決まったもので、市場の変動を抑制するために需要と供給のバランスをとろうとするものだとしている。また声明は、サウジアラビアは、原油市場の変動性から世界経済を守るという自らの目標から逸脱させようとするいかなる試みをも拒否する、とも付言している。

サウジアラビアのアデル・アル・ジュベイル外相は、CNNのインタビューに対し、語気を強めてで次のように述べた。「サウジアラビアは石油を政治利用しない。我々は石油を武器と見なさない。石油は商品だと考えている。我々の目的は、石油市場に安定をもたらすことだ。過去数週間ではなく、過去数十年間の我が国の記録を見ても、そのことが極めて明確に示されている」

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また同外相は、今回の論争がサウジアラビアと米国の関係に与えている影響に関して、両国は過激派やテロとの戦いといった面で「恒久的な」利害関係を有していると付け加えた。

「私はこの関係が壊れているとは思っていない。壊れるはずがない。その関係は非常に強固である」と同外相は述べ、こう続けた。 「サウジアラビアには約8万人の米国人が住み、働いている。両国には非常に強固な貿易・投資関係がある」

サウジアラビアのエネルギー大臣であるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子も番組に出演し、ブルームバーグの取材にこう答えた。「我が国の現在の優先事項は、需要と投資の面で市場の安定を図ることだ」

利益をあからさまに優先させているという批判については、同王子は次のように述べた。「彼らの主張は、我々が価格をつり上げるために意図的にそうしたことを行っているのであれば、受け入れられるのかもしれない。我々にはそういう認識はない。我々の目的は、市場を確実に維持することなのだ」

サウジアラビア外務省の声明では、匿名の高官の言葉を引用しながら、次のように述べられている。「経済的な課題を解決するには、非政治的かつ建設的な対話の環境を確立し、すべての国の利益につながることを、賢明かつ合理的に検討することが必要だ。サウジは、米国との関係について、両国の共通の利益に資する戦略的なものと見なしているということを確認したい」

コンサルタントでエネルギー市場のスペシャリストであるアブドラアジーズ・アル・モクベル氏はアラブニュースの取材に対し、米国の立場は「米国内の石油精製部門の状況に直接影響される」と述べた。その精製施設は老朽化しており、ヘビー、ミディアムのベンチマーク原油の多様な調達が難しい状況になっているという。

さらに同氏は、「世界経済は、米中の二大経済大国間の貿易戦争に続き、新型コロナウイルスのパンデミック、そして重要なこととしてロシアとウクライナの紛争など、一連のマクロ的事象によって打撃を受けてきた」と述べた。

「石油市場の混乱は、さらなる経済危機を引き起こす可能性がある。OPECプラスの決定は、一層の世界経済危機という重大な結果を回避するため、積極的に先手を打つことを目的としている」

サウジアラビアは、湾岸協力会議のナーイフ・アル・ハジュラフ事務局長の支持を取り付けた。

アル・ハジュラフ事務局長は自身のウェブサイトの公式声明で、サウジアラビアとの「完全な連帯を表明」し、同国を批判する発言は「事実無根」であると述べた。

さらに同事務局長は、「国家間の相互尊重の面において、地域および国際レベルでサウジが果たしている重要かつ中核的な役割」を高く評価するとともに、「各国の主権を損なわず、エネルギー価格の変動性から世界経済を守りつつ、原油の生産国と消費国の利益を考慮したバランスのとれた政策に従って、原油供給を確保するというサウジの誓約」を称えた。

米民主党は、11月の中間選挙へのガソリン価格上昇の影響を考慮して、サウジアラビアを非難しており、長年のパートナーである両国の防衛協力の終了を求める声さえ同党内から出ている。

12日の米国内の平均ガソリン価格は1ガロンあたり3.92ドルだった。

マイク・ポンペオ前米国務長官は、現在のエネルギー危機の責任があるとしてバイデン氏を非難した。

「これは米国の政策の失敗だ。ジョー・バイデン氏は、エネルギーに関して世界が置かれている状況に対し、直接的な責任がある」

また、ポンペオ氏は、米国の進歩的左派が25年間、「太陽と風車で世界を運営しよう」と考えてきたことを批判した。

同氏は、新しい製油所を建設しないことを別にしても、現政権は米国のエネルギー面での自立に向けた戦略を間違えていると指摘した。

「我々はパイプラインを閉鎖し、事業許可を困難にし、ESG(環境、社会、ガバナンス)の規則を設けてきた。我々は今や、米国のエネルギーを米国の消費者のために、米国の土地から得る能力を否定してしまっている」

「この米国には、自力でエネルギーを確保する能力があるのだ」。ポンペオ氏はFoxニュース・サンデーに対し、このように語った。

「米国は自国のためのエネルギーの自立を実現しており、率直に言って、世界にもエネルギーを供給する能力を備えている。それなのに、OPECであれサウジアラビアであれ、他の何かに責任を押し付けるのは大きな間違いだ」

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