
米アップル製スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が高額化している。歴史的な円安を背景に、9月発表の最新モデル「14」シリーズは発売時の直販価格が最安値でも10万円を超えた。その受け皿として活況を呈するのが中古スマホ市場。しかし、需要の増加で割安価格が維持できるかどうか懸念も出ている。
「中古スマホが世の中の関心事になり始めている」。中古スマホ販売サイトを運営するビロング(東京)の井上大輔社長は話す。アップルが「13」の直販価格を7月に引き上げて以来、同サイトでの一日当たりの売り上げはそれまでの約2倍。2019年に発売された「11」以降の比較的新しいモデルが売れ筋だ。
同業のイオシス(大阪)でも同月以降、中古アイフォーンの販売額は1.7倍以上と好調を保つ。MM総研(東京)の調査では、21年度の中古スマホの販売台数は212万台と過去最高。26年度には342万台に拡大するとみている。
ただ、需要の増加は中古端末の価格を押し上げかねない。イオシスによると、高額な「14」を避けて中古の「13」を選ぶ人が多く、サイトでは記憶容量が最小のタイプでも10万円程度と、新品に近い値段が付いている。同社は「需要と供給が拮抗(きっこう)し、例年ほど価格が下がらない可能性がある」と指摘する。
MM総研によると、日本での「14」の販売価格は、世界37カ国・地域で最安(円換算ベース)。価格調整のため、アップルが今後「13」同様値上げする可能性もあり、中古市場の需給がさらに引き締まることも予想される。
時事通信