
パリ:米国とイランの対決で一時的に中東の緊張が急激に高まり、主要な石油生産地域からの供給が途絶すれば世界経済に打撃を与える可能性があることを再認識させられたと、国際エネルギー機関(IEA)が木曜日に語った。
しかし同機関は、十分な備蓄と他地域での生産のおかげで、世界的には比較的うまく危機に対処できるとしている。
米政府とイラン政府の間では、ここ2週間にわたり報復的な軍事行動が続いており、両政府は現在こう着状態にある。今後より大規模な対立が懸念されているが、そうなれば世界的な石油供給の20%が経由するホルムズ海峡を断たれかねない。
IEAは石油市場に関する最新の月間レポートで、「時間の経過とともに地政学的条件がどのように展開していくかは不明だが、現在のところ、石油供給に対して重大な脅威がもたらされる恐れは低くなったようだ」と述べた。
同レポートによると、石油価格は一旦は1バレルあたり4ドル跳ね上がったがその後下がったという。4ドルというと、9月にサウジの石油施設が一連の攻撃を受け、一時的に主要な輸出企業の生産が一部停止した時と同じ上昇幅だ。
パリを拠点とし、経済協力開発機構(OECD)のメンバーである工業国にエネルギー政策に関する助言を与える同組織は、「現在の市場は、非OPEC産油国による生産が堅調に伸び、OECDの備蓄も5か年平均を900万バレル上回っており、いかなる地政学的緊張の高まりにも対処できる確固たる基盤が整っています」と語っている。
「予備資源としての戦略備蓄の価値を、改めて確認できました」
IEAは、OPECによる禁輸によって誘発された1973年の石油危機を受けて設立され、現在はIEAのメンバー国が純輸入量の3か月分にあたる量を備蓄している。
石油市場は最近では、需要を上回る非OPEC産油国による生産の急増に突き動かされており、価格を維持するために生産量を抑制する動きがOPECとその同盟国に見られる。
IEAは、今年は石油需要が急速な伸びを見せると予測しているが、これは通商面での緊張が軽減するにともない世界的な伸びの持ち直しが期待されるためだ。
しかし、非OPEC産油国による供給量は、増加した1日当たり120万バレル(1.2 MBD)の需要をはるかにしのぐ210万バレル(2.1 MBD)という伸びを見せており、OPECとその同盟国はさらなる生産削減をせまられている。
2019年中は、OPECによる生産減が非OPEC産油国の生産増をほぼ完全に相殺した。
AFP