
東京:9日、日産は新型コロナウイル感染症によるシャットダウンや世界的な半導体不足といった課題が継続する中、円安が海外事業の利益押し上げに寄与し、通期の利益予測を上方修正した。
同社は現時点で、2023年3月期の当初通期目標から50億円増となる1,550億円(10億600万ドル)の純利益を見込んでいる。
同社の年間売上高も増加したものの、現時点での通期販売台数見込みは、以前の予測である 400 万台から減少し、前会計年度の販売台数を下回る 370 万台を見込んでいる。
同社は声明の中で、「今会計年度上半期は原材料価格が急上昇するなど事業環境は厳しく、また半導体の供給不足や新型コロナウイルス感染症による上海でのロックダウンの影響を受け、販売量は前年の水準を下回った」と伝えた。
日産の内田誠最高経営責任者(CEO)は声明で、「上半期の好調な業績は、歴史的円安が為替レートに与える影響に加え、収益構造の着実な改善、強固な事業基盤を反映している」と伝えた。
彼は、継続的な半導体不足と原材料価格の高騰により、事業環境は今年の下半期も「困難な状況が続く」だろうと述べた。
また日産は同時期に「ロシア市場からの撤退に関連して」約1,000億円の特別損失を計上することを報告した。
この結果は、日産と提携パートナーであるルノーの間で行われる交渉で、時に困難を生じさせてきた不均衡な提携バランスが調整される可能性に全関係者の注目が集まる中で発表された。
ルノーは、8日に新たな電気自動車部門としてアンペールを設立することを確認したが、日産株式保有割合の大幅な削減について検討中と見られている。
日産は先月の声明で、数十年にわたる提携の「協力関係を強化し、より良い未来を築く」ための取り組みの一環として、ルノーと「信頼できる話し合い」が進行中であると伝えた。
この提携は、1990 年代後半に赤字に陥っていた自動車メーカーの日産を、世界最大の業界大手の一角に変身させたことで広く評価されている。
日産の関係者は、ルノーが日産株式の約 43% を支配する一方で日産はそのパートナーの株式のわずか 15%しか保有していないという提携関係は不均衡なものと考えており、この関係の修正を望んでいると伝えられている。
内田氏は「オープンで建設的な」議論がおこなわれていると説明したが、詳細については明らかにしなかった。
「昨日、ルノーグループは新会社について発表を行った… 私たちは、この会社が日産にどのように利益をもたらすか、そして日産がどのように参加すべきかを検討している」。同氏はこう述べた。
「今後進む話し合いに基づいて、この新会社への投資を検討する」
日産に近い情報筋は、提携に関する話し合いは「さらに数週間」かかるだろうと述べた。
「議題の複雑さを考えると、明確な合意事項が決まるまでにはさらに数週間かかるが、話し合いは前進している」。同氏はAFPに対しこう語った。
ブルームバーグ・インテリジェンスの自動車アナリスト吉田達生氏は、日産のアンペールへの参加や、ルノーの日産株式保有割合削減に関する報告がない状況は、「交渉があまりうまく進んでおらず、進捗は遅いということを示唆している」と述べた。
専門家の間では、出資比率見直しが提携にどのような影響を与えるかについて意見が分かれているが、吉田氏は、ルノーの出資比率を引き下げることで、日産により多くの自由が与えられると主張している。
しかしUBS証券のアナリスト高橋耕平氏は、現在も続くルノーの影響力が交渉をルノーに有利な方向に動かす可能性があると述べた。
三菱自動車も傘下に収めるこの自動車アライアンスは、とりわけ元日産会長カルロス・ゴーン氏の逮捕とその後の逃亡の後に高まった緊張を乗り越えてきた。
財務に関する不正行為で告発されたゴーン氏は、日産とルノーの統合を更に押し進めようとしたことで標的にされたと主張した。彼は保釈中に行方をくらまし、日本からレバノンへと逃亡した。
AFP