アラブニュース
ダボス:世界貿易機関(WTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は、世界経済フォーラム(WEF)において「貿易の未来はサービスであり、それはデジタルかつグリーンなものであり、インクルーシブであるべきだ」と述べた。
事務局長は、貿易を取り巻く課題は世界成長の失速だけでなく、多くの国が異なるやり方を採用しているために、一部の指導者がグローバル化の未来に疑問を呈していることにもあると語った。
また、世界的な成長のための新たな方策を再考するよう世界の指導者に訴えた。そして脱グローバリズムは世界や新興経済国にマイナスの影響があるとし、警鐘を鳴らした。
一部の国が二国間の貿易協定を模索するなか、WTOは、世界の貿易が経済圏に分断されることの危険性に早くから警鐘を鳴らしてきた。
ウクライナの紛争や新型コロナ、サプライチェーンの脆弱性などのため、多くの国が消費地の近くに製造拠点を移している、と事務局長は指摘した。
そうした保護主義的な傾向は、重要な物品やサービスの特定地域への依存を多くの国が疑問視した結果、さらに加速した。ロシアのエネルギー資源への欧州諸国の依存もその1つである。
オコンジョ・イウェアラ氏によると、貿易面での包括性よりも国家の安全保障を優先するそうした傾向は特定の国の優遇につながりかねず、収入や経済成長の分配に不公平が生じる。
「友人をシェアするとなったら、誰が友人なのかわからなくなります。アフリカの国を挙げる声もありません」と事務局長は言う。
ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相は、世界が本気で環境目標を達成するのであれば協調は欠かせないと述べた。
貿易のやり方を再考している多くの国にとって産業政策がいかに重要視されているか、また、回復力や国家の安全性の向上のために特定の産業がいかに見直されているかという点を首相は力説した。
「5年前は(産業政策は)それほど魅力的な話題ではありませんでした。それが、今では最優先となっています」