
ニューヨーク:日本のソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アームは、年内に見込まれている米株式市場での新規株式公開で、少なくとも80億ドルの調達を目指していると、2023年3月5日日曜、事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。
アームは4月下旬にIPOに向けた書類を内々に提出する見込みであると、話し合いは内密に行われているため匿名を条件として、情報筋が明らかにした。上場は今年後半に予定されているが正確な時期は市場の動向を見て決められると付け加えた。
ソフトバンクは、ここ数年で最も注目を集めると期待される今回の株式公開の主幹事として4つの投資銀行を選定した。情報筋によると、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、バークレイズ、みずほフィナンシャル・グループが主幹事になる見込みだが、待望の「リード・レフト」に起用された銀行はまだないと付け加えた。
オーストラリアン・フィナンシャル・レビューは、2023年3月5日日曜の午前に、主幹となる投資銀行について報じた。
情報筋によると、IPOの準備は近日中に米国で開始される予定だという。評価額のレンジはまだ確定していないが、イギリス、ケンブリッジに拠点を置くアームは、株式売却時、500億ドル以上の評価額となることを望んでいると情報筋は述べた。
バークレイズ、JPモルガン、ソフトバンクは現時点でコメント要請に応じていない。アーム、ゴールドマン・サックス、みずほはコメントを控えた。
アームが年内に上場に成功すれば、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻で市場が不安定になりテクノロジー株が大幅に下落して以来、大きく冷え込んでいたIPO市場にとって後押しとなるだろう。
IPO市場は先月、太陽光発電技術企業のNextrackerや中国のセンサー製造会社Hesai Groupなど多くの企業が米株式市場に上場し、一時的に活気を取り戻したが、投資家は依然として新株への投資に慎重である。
IPOアドバイザーらは、今年後半までの資本市場の本格的な回復を見込んでいない。
アームは先週、年内に米国での単独上場を目指す意向を発表しており、同社がロンドン市場に復帰することを望んでいた英政府の期待は崩れる形となった。
ソフトバンクは、アームをNvidiaに400億ドルで売却する契約が昨年、英国や米国の独占禁止規制当局からの承認が下りず頓挫して以降、アームの上場を目指してきた。
ロイター