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フェイスブックの和解で「生体認証プライバシー」が浮き彫りに

このイラストにはフェイスブックのロゴの前に小さなおもちゃの人形がいくつか描かれている(ロイター/ダド・ルービック/イラスト/資料写真)
このイラストにはフェイスブックのロゴの前に小さなおもちゃの人形がいくつか描かれている(ロイター/ダド・ルービック/イラスト/資料写真)
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02 Feb 2020 09:02:33 GMT9
02 Feb 2020 09:02:33 GMT9
  • この訴訟は、生体認証プライバシーの原則、つまり技術サービスや製品のユーザーが顔認識に使われる自分のデータへのアクセスを管理する権利の確立に一役買う

ワシントン:フェイスブックが顔認識の使い方について規制する州法に違反したとする集団訴訟で、同社が巨額の和解金を支払ったことは、「生体認証プライバシー」にとって重大な分岐点となると歓迎されている。

SNS大手のフェイスブックは29日、「顔認証機能」のための生体認証情報を2008年のイリノイ州プライバシー法に違反して違法に収集したとする訴訟が却下とならなかったことを受け、5億5千万ドルの支払いに同意したと発表した。

この和解はフェイスブックなどの顔認識技術を使うテクノロジー企業に広範囲にわたる影響を与えかねず、プライバシー慣行を変えさせる州法ができる可能性を浮き彫りにした。

原告弁護団のジェイ・エルダーソン弁護士は、この訴訟が生体認証プライバシーの原則、つまり技術サービスや製品のユーザーが顔認識に使われる自分のデータへのアクセスを管理する権利の確立に一役買うと語った。

「生体認証はGPS位置情報と並ぶ2つの主戦場の一つで、次の世代のプライバシー権を規定するものとなります。他の企業もフェイスブックの先例にならい私たちの生体認証情報の重要性に相当な注意を払うことを期待します」と、エルダーソン弁護士は声明で述べた。

原告の法律的主張を支持したアメリカ自由人権協会のネイサン・ウェスラー弁護士は、この和解が消費者と生体認証技術にとっての転換点になるかもしれないと語った。

「企業はこれを深刻に受け止めざるをえないでしょう。この規模の和解が抑えになってくれるといいのですが」とウェスラー弁護士は語った。

この取引は米国のプライバシー訴訟史上最大級の和解の一つで、これを上回るのはフェイスブックのデータ取り扱い慣行をめぐり連邦取引委員会に支払われる50億ドルがあるのみだ。これら2件とも裁判所の承認待ちである。

この訴訟は警察や出入国管理への顔認識の使用だけでなく、SNSの「タグ付け」、小売店への応用、個人用情報機器や自動車のロック解除など、生体認証技術の投入が相次ぐ中で起こされた。

サンフランシスコなど米国のいくつかの都市は顔認識技術の使用を禁じる条例を制定した。個人を特定するのに誤りを起こす可能性のある巨大データベースを作ることには不安がある。

「私たちの最も個人的な情報を収集し利用することに対し合理的だが強力な制限をかける必要が、この数年で裁判所と一般大衆にますます認識されるようになりました」とウェスラー弁護士は語った。

イリノイ州法は政府機関やその契約業者には適用されない。少なくとも他の2州に同様の州法があるが、企業が同意なくデータを収集した場合、損害に対する個人訴訟を認めているのはイリノイ州だけだ。

原告の主張を支持した電子プライバシー情報センターのアラン・バトラーは、今回の訴訟をフェイスブックの全ユーザーに影響が及ぶ可能性のある「著しく重大な」ものだとした。

特定の損害の証拠なしで単に違反の事実を示すという観点で、この訴訟を進めてよいと裁判所が判断したことをバトラー氏は指摘した。

だがイリノイ州法やこれと同様の規制は望ましくない影響も与えかねないと、業界寄りのシンクタンク、情報技術・イノベーション財団のダニエル・カストロはいう。

損害を示すことなく訴訟を起こす能力は、訴訟の洪水を引き起こし、企業の中には「罰則のリスクを避けるためイリノイ州でのサービスを停止するところさえあり、消費者にとって利益とはなりません。同時に、市民を追跡するため警察が顔認識を使うような個別の問題の解決には、ほとんど役立ちません」とカストロ氏は語った。

この「つぎはぎ」の州法のせいでテクノロジー企業が新製品を出すのが困難になり、中国企業に対して不利な立場に立たされるとカストロ氏は語った。

今回の和解は米国議会が連邦プライバシー法制を議論している最中に起き、連邦法がイリノイ州のような法律に優先することになるような提案も出された。

強いプライバシー規制を先頭に立って制定しようとする州もあり、連邦法は全般的なデータ保護を弱めかねないとウェスラー弁護士は主張した。

「最悪の展開は、実効的なプライバシー権を持たない弱い連邦法が制定され、これが州法に優先するというものですが、それが業界の求めなのです」とウェスラー弁護士は語った。

AFP

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