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日本の地味な「おにぎり」がイメージアップ中

東京都内の自宅でおむすびを作る、おむすびケータリングサービス「笑むすび∞」経営の山田みきさん。2023年12月7日撮影。(AFP)
東京都内の自宅でおむすびを作る、おむすびケータリングサービス「笑むすび∞」経営の山田みきさん。2023年12月7日撮影。(AFP)
東京でおむすびケータリングサービス「笑むすび∞」を経営する山田みきさんの自宅で皿に盛られたおにぎり。2023年12月7日撮影。(AFP)
東京でおむすびケータリングサービス「笑むすび∞」を経営する山田みきさんの自宅で皿に盛られたおにぎり。2023年12月7日撮影。(AFP)
ニューヨーク・マンハッタン区の「おむすび権兵衛」でおにぎりを買う客。2023年12月20日撮影。(AFP)
ニューヨーク・マンハッタン区の「おむすび権兵衛」でおにぎりを買う客。2023年12月20日撮影。(AFP)
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15 Feb 2024 06:02:16 GMT9
15 Feb 2024 06:02:16 GMT9

東京:おいしい具を入れて海苔で包んだ「おにぎり」は、日本での安くてパッとしない軽食というイメージを払拭し、海外ではお腹を空かせた新たなファンを魅了している。

ソーシャルメディアのおいしそうな写真、手頃な値段のランチへの需要の高まり、日本を訪れる観光客の急増などにより、地味なおにぎりが人々を惹きつけている。

東京の閑静な一角で、レストラン「おにぎりぼんご」の開店を待つ50人あまりの客に聞いてみればいい。

半世紀以上の歴史があるこの店を切り盛りする71歳の右近由美子さんは、以前は「昼時と夕飯時の間には誰も来なかったのに、今ではお客さんがひっきりなしに列を作るようになりました」と話す。

8時間待つ人もいる、と右近さん。梅干しのような昔ながらの具から、醤油ベーコンのような変わり種まで、チームで約60種類のおにぎりを作っている。

「おにぎりぼんご」はカウンターの9席しかないが、1日に約1,200個のおにぎりを売っている。

「私が若い頃は、おにぎりは家で作るものでした」と右近さんはAFPに語った。「今のおにぎりは買ったり、食べに出かけたりするものになっていますね」

日本では根強い人気の携帯食であるおにぎりは、千年以上前から食べられており、かつては武士が戦場に携帯した。

この軽食はコンビニエンスストアでまず間違いなく見かけるような、ありふれたものだ。

しかし、かつてないほど多くの観光客が日本を訪れ、日本のポップカルチャーが人気を博している今、おにぎりは海外でもランチの選択肢になりつつある。

日本のおむすびチェーン「おむすび権兵衛」は、パリとニューヨークのグランドセントラル駅近くに店舗をオープンした。

「軽くて、ヘルシーで、食べやすいですね」と53歳の客、ショーン・キングさんは言う。彼は日本で初めておにぎりを食べたが、ニューヨークでおにぎりを見つけた時は「とても嬉しかった」という。

「食べてがっかりすることはありませんよ」

都内最古のおにぎりレストラン「おにぎり浅草宿六」は2019年版ミシュランガイドに掲載され、おにぎりの地位は向上した。

「その瞬間から、おにぎりを日常的な食べ物だと思っていた人々が、高級な料理と見るようになったのです」と、一般社団法人おにぎり協会代表理事の中村祐介氏は言う。

総務省によると、おにぎりやその他の調理済み米飯製品への支出は、過去20年間で66%増加している。

一般社団法人日本惣菜協会によると、2022年、おにぎりは弁当に次いで日本で2番目によく購入された惣菜だった。

おにぎり専門店も急速に増えている、と中村氏は言う。

このトレンドは、パンデミック時の持ち帰り需要だけでなくインフレも後押しになっており、人々は節約のため外食よりもおにぎりを選ぶようになっている。

ウクライナ侵攻の影響で小麦などの輸入穀物が高騰している一方で、「国内産の米の価格は比較的安定しています」と中村氏は説明する。

おむすび専門のケータリングサービス「笑むすび∞」を経営する山田みきさんは、日本人は米と文化的に深いつながりがあるという。

神道では「米は神へのささげ物」であり、おにぎりが伝統的に三角形をしているのは、神道の多くの神々が宿る山にちなんでいるのかもしれない、と48歳になる山田さんは言う。

実家が福島の米農家である山田さんは、2011年の原発事故の後、福島の米を応援する方法を考えた結果、おにぎりの可能性に気付いた。

山田さんは、完璧に盛り付けられたおにぎりの写真をソーシャルメディアに投稿し始め、そこからビジネスに発展していった。

通常、おにぎり店は広告を出す余裕がないが、色とりどりのおにぎりを紹介するファンのネット投稿が、おにぎりの人気向上に大きな役割を果たしている、とおにぎり協会の中村氏は言う。

また、若年層の顧客は、上質な食材を使い、さまざまな雑穀を混ぜ込んで栄養価を高めた「プレミアムな」おにぎりにも魅力を感じている。

27歳の川原田美雪さんは「TARO TOKYO ONIGIRI」の社長で、2022年に都内に2店舗をオープンし、1個430円(2.85ドル)の最高級おにぎりを販売している。

川原田さんは海外に数十店のおにぎりレストランをオープンしたいと考えており、この軽食が寿司を抜いて海外で最も有名な日本食になる日が来るかもしれないと考えている。

おにぎりは「ヴィーガンフードにもハラールフードにもできるし、異なる文化に合わせることもできます」と、川原田さんはAFPに語った。

「日本だけでなく海外でも、お米の堅苦しく古臭いイメージを一新したいと思っています」

AFP

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