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ダーウィンは正しかった: 最適者のみがCOVID-19から生き残る

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19 Apr 2020 10:04:17 GMT9
19 Apr 2020 10:04:17 GMT9

最も強力な大量破壊兵器、最も恐ろしい自然災害、そして最も凶悪なテロ攻撃のいずれも、たった1つのちっぽけなウィルスが引き起こした破壊的ダメージを21世紀の人類に及ぼすことはできなかった。

そのことを医学研究者たちは明確かつ直接的に、次のように表現した: 世界にCOVID-19の保菌者が1人いる限り、別のパンデミックが起こる可能性はなくならない。

考えたり観察したり企んだりできる知性を持たないにもかかわらず、SARS-CoV-2ウィルスは人類としての私たちの弱点を見つけたのだろうか?それは私たちのアキレス腱であり、一致団結する必要性のことである。

どのようなデジタルアプリも、愛する者たちにハグしたり、両親の額にキスしたり、出会った人たちと握手したり、結婚式に参列したり、慰め役を果たしたりする必要性を補うことはできない。

どのような仮想現実ツールも、旅行したいという本能を埋め合わせることはできない。

どのような通信教育プログラムも、そのアルゴリズムがどれだけ洗練されていようと、教師の監督下で直接顔を合わせてクラスメートと交流することによって生徒が得られるメリットを提供することはできない。

わずか4ヶ月でウィルスは何千年も積み上げてきた社会の伝統や習慣を一掃してしまった。そして私たちは家の中に隠れざるをえなくなっている。それはまるで、最初の人類をかくまった洞窟のようだ(ただしありがたいことに、私たちの「洞窟」はもっと安全で、エアコンが効いており、電気やWi-Fiも備わっている)。

このウィルスは私たちがこれまでに直面してきたどのような困難よりも恐ろしい困難をもたらす方法を学習したかのように見える。それを考えると、このウィルスが知性を持たないとは信じがたい。

コレラは汚染された水で伝染した。私たちはそれに打ち勝った。HIVは性的な直接接触や感染した血液を通して伝染した。私たちはそれにも打ち勝った。

しかしこのウィルスが必要とするのは、握手や会話、あるいは感染した人と同じエレベーターのボタンを触ることだけである。

SARSやMERSなど急性呼吸器疾患でさえ、それほどの積極的な接触感染性は持たなかった。

わずか4ヶ月でこのウィルスは数千年も積み上げてきた社会の伝統や習慣を一掃してしまった。

ファイサル・J・アッバス

そして私たちは未だに、COVID-19から回復した患者が永久的な免疫を持つのかどうか、あるいはSARSが発生した時のように夏の暑さが拡散を抑制するのかどうか、分かっていない。

もし治療法やワクチンが今日発見されたとしても、「COVID-20」や、より死亡率や感染率の高い別の進化したウィルスが数ヶ月以内に出現しないという保証はない。

世界経済はもちろん、私たち人間の精神は感染の第二波や強制的な監禁状態、破産、そして死に耐えることはできるのだろうか?

「最適者生存」は進化論者チャールズ・ダーウィンによる自然淘汰の概念を説明するのに使われる言葉である。つまり、周囲の環境に最もよく適応する者たちが生き残るということだ。

私たちの周辺環境はコロナウイルスに汚染されており、高齢者や新生児、持病を持つ人、免疫系が弱い人など、私たちの中で最も弱い者たちが殺される。

例えば世界で最も裕福なサッカー選手クリスティアーノ・ロナウドは影響を受けないだろう。彼は現在、母国ポルトガルのマデイラ島の豪華なマンションでウィルスから隔離されて過ごしている。同様にサハラ砂漠以南のアフリカの人々は影響を受けるだろう。彼らの63%が石鹸や水で手を洗うための基本的な資源を持たない。

パンデミックによって巨大企業は一時的にその資金を減らすこととなったが、彼らは競合他社を買収したり、自らが持つリソースから恩恵を得て新たな分野に進出したりすることで、安全・健全にこの状況を切り抜け、そしておそらくより強力になってさえいるだろう。

例えばAmazonはオンラインショッピング需要の高まりに乗じて175,000人のスタッフを雇い、宅配に対応しようとしている。

一方で、特に長期的な助成金や免税、補助金交付によって経済を支えるリソースを持たない国では、小規模な企業の多くが破産に追い込まれるだろう。

おなじことが国家レベルにも当てはまる。それぞれの社会の豊かさや保健・衛生状態、若者と高齢者の構成比率、政府が国民の法規制順守を制御可能な範囲、独立した権限を持つ政府機関の存在が、各国がこのパンデミックを切り抜ける条件に影響を与えることは疑いない。

このウィルスは多くの国で別の弱点も暴露した。その中には最も重大な弱点も含まれる。つまり、衛生用品や医薬品の製造・供給に対する第三者への依存性である。

パンデミックは国際的な協力を拡大・強化しており、その逆はない。それはサウジを議長国として最近開催された今年のG20の決議から始まったことである。

新たな同盟や、既存の同盟の有効性の拡大がおぼろげに見え始めている。

それはもはや高い望みではなく、必要なことである。パンデミックはあらゆる人々を襲うのだから。唯一の解決方法は一致団結して協力し合い、ウィルスに打ち勝つことである。

  • ファイサル・J・アッバスはアラブニュースの編集長である。Twitter: @FaisalJAbbas
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