
農林水産省が4日発表した2023年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比9.6%増の7144億円となった。上期としては3年連続で過去最高を更新。新型コロナウイルス対策の行動制限が解除され、中国などで外食需要が回復。円安により海外で日本産品が割安になったことも追い風となった。
国・地域別では、清涼飲料水が伸びた中国が16.2%増の1394億円と首位。高額な真珠が好調だった香港が25.8%増の1154億円と続いた。一方、米国は、物価高に伴う消費低迷が響き、7.9%減の964億円にとどまった。
ただ、東京電力福島第1原発からの処理水の海洋放出を巡り、最大の輸出先である中国と香港は7月、日本産水産物の放射性物質検査を強化。実際に処理水が放出された場合、香港は10都県からの水産物輸入を停止する方針を示しており、下半期の動向には不透明感が強まっている。
政府は農林水産物・食品の輸出額について、通年で25年に2兆円、30年に5兆円に拡大させる目標を掲げている。
時事通信