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イラン核問題に「軍事的要素あり」原子力エネルギー機関の前長官が同意

イラン原子力庁の前長官、フェレイドン・アッバシ・ダバニ氏(ロイター/所蔵写真)
イラン原子力庁の前長官、フェレイドン・アッバシ・ダバニ氏(ロイター/所蔵写真)
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30 Nov 2021 05:11:04 GMT9
30 Nov 2021 05:11:04 GMT9
  • テヘラン最高の核科学者はその研究が「脅威となった」ために殺されたと核機関の前長官が発言
  • 兵器開発で「核兵器レース」が引き起こされる可能性があるとの情報をアラブニュースが専門家から取得

クリストファー・ハミル・スチュワート

ロンドン発:イラン原子力庁(IAEO)の前長官は、テヘランの核関連計画に軍事目的があると明かした。核爆弾に関するイランの野心をこれほど明確に認めた発言は、かつてない。

フェレイドン・アッバシ・ダバニ前IAEO長官は、国営メディアとのインタビューで、軍事能力を持つ「システム」の存在を認めた。

イランの核計画に軍事研究部門が組み込まれているなら、核兵器に関して国に定められた境界を直接、踏み越える行為である。

イランの政府高官は、同国が核兵器を開発していない証拠として、核兵器の開発と使用を否定する、アリー・ハメネイ最高指導者からのファトワー(宗教に基づく布告)を頻繁に引用してきた。

しかしイラン最高の核科学者であるアッバシ・ダバニ氏は、イスラエルのエージェントによる2020年のモフセン・ファフリザデ氏暗殺について語る中で、同氏の研究は「システム」の一部をなしており、それがイスラエルにとって軍事的脅威となったと示唆した。

「国の包括的な成長に衛星、ミサイル、核兵器を包含し始め、知識が新しい境界を超えるようになって、彼らにとって問題が一段と深刻化した」とアッバシ・ダバニ氏は述べた。

イランが推進する核開発計画の個々の要素に明白な軍事的使用はなかったが、ウラン濃縮などの研究努力の「システム」の存在が、合理的に見て高度なイランの国内ミサイル計画と共に考慮され、ファフリザデ氏殺害の契機となったと考えられている。

ただしワシントンとテヘランがイランの核開発計画の将来に関する長期的協議の再開を決めたタイミングで、発表されたアッバシ・ダバニ氏のインタビューでは、核兵器開発の背後にある戦略目標についても、次の新しい情報が明るみに出た。中東の代理戦争に向けた核の傘

「最高指導者の明白なファトワーに基づき、核兵器がハラーム(宗教的禁忌)であるという私たちの姿勢は非常に明確ですが、ファフリザデ氏はこのシステムを作成し、同氏の考慮事項は、国防に限定されていなかった」とアッバシ・ダバニ氏は述べた。

同氏は次のように警告する。「我が国は(対イスラエル)抵抗戦線の同盟勢力を支持しており、その領域に踏み込まれると、シオニストが敏感になる」

「抵抗戦線の同盟勢力」とは、イエメンのフーシ派、レバノンのヒズボラ、イラクの人民動員部隊の戦線武装構成員といった代理勢力グループやテロリスト組織からなるイランのネットワークを指している。

これらのグループは、イデオロギー的にイスラエルに反対しているが、実際にはイランの対外政策上の目的を追及するために利用されている。

イラン出身のライマン大学講師であるMeir Javedanfar氏は、アッバシ・ダバニ氏が特に「システム」に言及していたことを理由として、同氏の認めた事実は「重大な懸念」だとアラブニュースに語った。

Javedanfar氏は次のように述べている。「これは、かつてない事態だ。これまでは、仮にイランが核開発計画を持ったとしても、使用目的はイランの外憂を払う国防に限られると想定されてきた」

「今、私たちは、アッバシ・ダバニ氏のコメントにより、今後イランが核兵器を入手するならば、地域の代理勢力の擁護に使われることを知っている。その結果、イランの核兵器取得の阻止が、これまで以上に不可欠となった」

また同氏は次のようにも述べた。「少なくとも、イランの代理勢力を支援するために核兵器を使用すれば、同地域周辺のさまざまなグループに保護の傘を提供することになる。そうなれば、イスラエル国だけでなく、同地域の多くの国々が危険にさらされるだろう」

Javedanfar氏は「そうなれば自然に核兵器レースに発展する可能性がある」と警告した。

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