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力強さ欠く内需=実額過去最高も―4~6月期GDP、影落とす物価高〔潮流底流〕

外需がけん引し、年換算の実質GDP実額はコロナ禍前のピーク(19年7~9月期)を上回り過去最高を記録。(AFP)
外需がけん引し、年換算の実質GDP実額はコロナ禍前のピーク(19年7~9月期)を上回り過去最高を記録。(AFP)
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16 Aug 2023 08:08:07 GMT9
16 Aug 2023 08:08:07 GMT9

2023年4~6月期の実質GDP(国内総生産)速報値は民間シンクタンクなどの事前予測(平均で年率換算3.0%)を上回る年率6.0%の高成長を達成した。外需がけん引し、年換算の実質GDP実額はコロナ禍前のピーク(19年7~9月期)を上回り過去最高を記録。だが、コロナ禍からのサービス消費回復があったにもかかわらず個人消費がマイナスに転落するなど、長引く物価高が影を落とし、力強さを欠く内需が浮き彫りとなった。

訪日客「復活」

「うちは完全に復活している」。東京・浅草の浅草寺には連日の猛暑の中、訪日外国人観光客が詰め掛けている。参道の仲見世通りで土産物店を営む稲葉和保社長によれば、コロナ禍の間は以前の8割減にまで落ち込んだ売り上げが、水際対策緩和後の今年1月ごろから回復。現在はコロナ前を上回る売れ行きが続いているという。

4~6月期の高成長を支えたのがこうした外需要因だ。統計上、輸出に計上される訪日客の消費額はこの期間に1.2兆円に達し、コロナ前の水準に近づいた。半導体などの部品供給制約が緩和したことによる自動車の生産増もあり、全体を押し上げた。

外需の伸びをさらに押し上げたのが、GDP成長率にはプラスに作用する輸入の減少だ。ただ、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「内需の弱さを反映したもので、日本経済は見かけの成長率ほど強くない」と指摘する。

きつい財布のひも

内需の柱である個人消費は3四半期ぶりのマイナス。内訳では、食料品などが含まれる非耐久財のマイナスへの寄与度が大きい。今年の春闘での賃上げ率は約30年ぶりの高水準だったが、物価上昇が上回り実質賃金は15カ月連続で前年同月割れだ。消費者は節約志向を高めているとみられ、ライオンの竹森征之社長は「(客の)財布のひもはきつくなることはあれど、緩むことはない」と漏らす。

米国、中国それぞれ景気減速の懸念が強まっている。企業経営者からは「(中国事業で)減速感も出てきている」(スズキ)、「スマートフォン製品市場は足元で想定以上に悪化している」(ソニーグループ)などと先行きを危ぶむ声が聞かれ、外需頼りの成長は心もとない。

日本経済は内需主導の成長軌道に乗せることが急がれる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員はいずれ賃上げの効果が波及すると分析するが、「消費を取り巻く環境の改善ペースが遅い。中小零細企業の賃上げが不十分だ」と指摘する。

時事通信

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