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マイクロプラスチック汚染リスク研究のため科学者たちが集結

これらのプラスチック片で最も大きいものは5ミリメートル長であり、おおよそトウモロコシ粒の大きさである。(資料画像:シャッターストック)
これらのプラスチック片で最も大きいものは5ミリメートル長であり、おおよそトウモロコシ粒の大きさである。(資料画像:シャッターストック)
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25 Feb 2020 01:02:32 GMT9
25 Feb 2020 01:02:32 GMT9
  • 海に見られるプラスチックの一部は、道路上の車タイヤ摩耗分が洗い流されたもの
  • この現象を研究する研究者は海に棲む生き物の健康について懸念を抱いている

オレゴン州ポートランド:米粒の何分の一よりも小さい、壊れたプラスチックの細かい粒子が水中や魚の内臓の中、ラッコや巨大なシャチの糞の中まで、海のいたるところに現れている。

しかし、これらの「マイクロプラスチック」の海の生物や人間への影響についてはほとんど知られていない。
「これらがどれほどの悪影響をもたらすのかを知ることは非常に大変なのです」と、シアトル水族館の保全研究キュレーター、ショーン・ラーソンは語る。「私たちはまだまだ最新の状況を知り始めているところなのです」
今週、米国西部の主要大学、政府機関、部族、水族館、環境団体、さらには浄水区から参加するマイクロプラスチック研究者60グループがこの問題の解決を目指してワシントン州ブレマートンに集まる。目標は、地震などの大規模な自然災害への対応を引き出すために使用される予測と同様に、地域のマイクロプラスチック汚染に対する数学的リスク評価を作成することである。

これらのプラスチック粒子の中で最も大きいものは5ミリメートルの長さでトウモロコシ粒とほぼ同じ大きさであり、多くははるかに小さく、肉眼では見えない。

これらの粒子は多くの方法で環境の中に入り込む。車のタイヤから剥がれ落ち、豪雨のなか小川や、最終的に海に流れ込むものもある。他には洗濯機でフリースやスパンデックスの衣類から脱落し、排水される汚れた水に混ざり込む。またいくらかは放棄された漁具から、さらに多くは毎日捨てられる何百万ものストローやカップ、水筒、ビニール袋、その他使い捨てプラスチックが時を経てくだけた結果生じるものだ。

小さな単細胞生物からラッコのような大きな哺乳類まで、あらゆるものに及ぶ潜在的影響に関する研究は始まったばかりだ。

[caption id="attachment_10158" align="alignnone" width="800"] プラスチックは化石燃料から作られ炭化水素を含むため、PCBや農薬などの水中の他の汚染物質を引き寄せ、吸収する。(資料画像:シャッターストック)[/caption]

「これは非常に大きな音で、強く鳴る警鐘といえます」と、会議の開催に携わったオレゴン州立大学のステイシー・ハーパー准教授は語る。「私たちはまず、保護すべき対象は何か、どの生物、どの絶滅危惧種、どの地域かの優先順位を付けます。それにより、私たちが対象を絞り込み、リスク評価を行うために必要なデータを決定することに役立ちます」
ポートランド州立大学が昨年発表した研究では、オレゴン州の海岸から採取された標本において、カキ1個あたり平均11点、マテガイ1個あたり9点のマイクロプラスチック片が見つかった。それらのほぼすべてがフリース他の合成衣類のマイクロファイバーまたは放棄された漁具からのものであったと、研究の共同執筆者エリーズ・グラネックは語った。

サンフランシスコ汽水域研究所の科学者たちは、昨年終了した3年間にわたるサンプリング期間中、サンフランシスコ湾に嵐の雨水から流れ込んだ大量のマイクロプラスチックを発見しました。研究者たちは砂の粒程度の大きさの黒いゴム状の粒子は車のタイヤから生じたものである可能性が高いと考えていると、同研究所のシニアサイエンティスト、レベッカ・サットンは語った。研究者たちは会議で調査結果を発表する。

この現象を研究する研究者たちは、海に棲む生き物の健康だけでなく、人間の健康についても懸念を抱いている。

懸念のいくつかは、プラスチック汚染に特有の異常なねじれから生じている。プラスチックは化石燃料から作られ、炭化水素を含んでいるため、PCBや農薬などの水中の他の汚染物質を引き付け吸収すると、米国海洋大気局の海洋デブリプログラム太平洋北西部地域コーディネーター、アンドリュー・メイソンは語る。

「まだ多くの研究が必要ですが、これらのプラスチックは環境内の有害な化学物質を引き出す能力を持っています。それらを引き寄せることができるのです」と、メイソンは言う。「すべてが、てっぺんに向かって上がるにつれてますます増え、傘は広くなります。そして、食物連鎖の一番上にいるのは誰か?私たちです。研究者たちが集結するのはこれが理由です。なぜならこれは増大しつつある問題であり、その影響を理解する必要があるからです」
研究者たちによると、ビニール袋や発泡スチロールの持ち帰り容器、ストローやプラスチックのフォーク・スプーンなどの使い捨てアイテムの禁止は、最小のプラスチック汚染にも役立つとのことだ。またいくつかの自治体では最近、科学界が非常に懸念している小さなプラスチック粒子により目を向け始めている。

カリフォルニア州の議会では2018年、最終的に州による飲料水中のマイクロプラスチック検査方法の採用を義務付ける法案を可決した。検査は4年間実施し、結果は公開される。法案にとっての最初の重要な期限は7月1日であるが、単に何がマイクロプラスチックと認定されるかを定義するステップとなる。

また、オレゴン州民主党のジェフ・マークリー上院議員およびサウスカロライナ州共和党のリンジー・グラハム上院議員を含む連邦議員は先週、米国環境保護庁にマイクロプラスチック汚染の「危機」を抑制するためのパイロット研究プログラムを設立する超党派の法案を導入した。

シアトル水族館の自然保護活動家ラーソンによると、同館での1年間の研究において、同館が展示のためにピュージェット湾から吸い込む海水サンプル100リットル当たり200から300のマイクロファイバーが発見されたとのことだ。水曜日のコンソーシアムでセッション議長を務めるラーソンは、これらの結果は警戒すべきものだと言う。

「『50年前、私たちはなんでも紙袋やワックスやガラス瓶の入れ物に入れましたね。またそうしたらよいのでは?』と言いながら、これらの情報を政策へと変えられるということです」と、ラーソンは語った。

 

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