岸田文雄首相は13日、将棋の八大タイトルを史上初めて独占した藤井聡太八冠(21)を首相公邸に招き、内閣総理大臣顕彰を授与した。藤井氏は記者団の取材に「大変光栄だ」と語った。
首相は顕彰式後の懇談で「藤井氏の活躍で日本中が沸き立っている。これからも将棋界の歴史を塗り替えていく時代が続くと思う」とエールを送った。首相は将棋の世界での人工知能(AI)との向き合い方を尋ねた。懇談には日本将棋連盟の羽生善治会長が同席した。
藤井氏は返礼品として将棋盤を首相に贈呈。箱に自ら「雲外蒼天(うんがいそうてん)」と揮毫(きごう)しており、記者団に「努力をしてさらに実力を高めることで、これまでとは違った景色が見えるという意味を込めた」と説明した。
藤井氏は10月11日に王座を獲得し、全八冠を同時制覇。2017年に叡王戦が加わり八大タイトルになって以降、初の快挙を成し遂げた。
総理大臣顕彰は1966年に創設。国家や社会に貢献し、顕著な功績のあった個人・団体が対象で、これまで35人、16団体に贈られた。将棋界では96年に当時の全七大タイトルを初めて制覇した羽生氏に続く2例目。
◇藤井八冠の主な発言
【記者団とのやりとり】
―総理大臣顕彰の感想は。
大変光栄なことだ。(岸田文雄首相に贈った揮毫(きごう)は)「雲外蒼天」。雲の上には青空が広がっており、努力してさらに実力を高めていくことで、これまでとは違った景色が見えるとの意味を込めた。
【首相とのやりとり】
(首相)将棋における人工知能(AI)との向き合い方は。
(藤井氏)将棋の世界でもAIは従来、計算力が大変高い。形勢判断の局面をみて、それをどう捉えて判断するか、AIを参考にしている。
(首相)王座戦ではAIを超える一手を打った。
(藤井氏)超えることは全くない。無我夢中で考えて指した。
(首相)子どもに将棋の面白さをどう伝える。
(藤井氏)一言では言い表せない。(対局)中盤、終盤と局面が展開するにつれ、複雑になり、緊迫していくことが特徴で、最大の魅力だ。終盤で互いに詰むか、詰まないか、緊迫した状況が非常に面白い。