
「すべて無罪を主張致します」。東京地裁で14日開かれた五輪汚職事件の初公判で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)は淡々と全面無罪を訴えた。終始厳しい表情で、時折所在なげに周囲を見回した。
高橋被告は午後1時すぎ、グレーのスーツにえんじのネクタイを締め、地裁裏側の東玄関から建物に入った。地裁で最も大きい104号法廷に入廷し、弁護側の席に緊張した様子で腰掛けた。
初公判の冒頭、証言台の前に立って小さく一礼。裁判長に名前や職業などを問われると、「役員は辞任し、会社顧問をやっています」と抑揚のない声で答えた。
罪状認否ではスーツの内ポケットから紙を取り出し、「すべての公訴事実について無罪を主張致します」と、よどみなく読み上げた。「金銭はコンサルタント会社への報酬として支払われ、あくまで対価。賄賂ではありません」と主張した。
検察側の冒頭陳述が始まると、弁護側の席で眉をひそめながら机の上の紙に視線を落とした。検察官の方に顔を向けたり傍聴席を見回したりと、落ち着かない様子も見せた。
時事通信