
【ニューデリー時事】インドで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は27日午前(日本時間同日午後)、世界最大級の金生産地だった「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産への登録を全会一致で決定した。ユネスコの諮問機関は6月、追加情報を求める「情報照会」を勧告していた。
佐渡島の金山は17世紀には世界最大級の金生産地となり、機械化が進む中で19世紀半ばまで手工業による金生産が行われた。政府は「世界に類のない鉱山遺跡」として、昨年の登録を目指して推薦書を提出。しかし、ユネスコから内容の不備を指摘され、昨年に修正した推薦書を再提出した。
ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は6月、「登録」に次ぐ情報照会を勧告。推薦対象外の明治以降の史跡が多く含まれる一部地区は除外すべきだと指摘したことを受けて、政府は除外する方針を示していた。
金山では太平洋戦争中に朝鮮半島出身者も働いていたことから、韓国側は「強制労働の現場だ」として日本政府に抗議するなどしてきた。イコモスは追加的勧告で、戦時中も含む金山全体の歴史を説明する施設を整備するべきだと言及した。
世界遺産委の審議では、日韓両国を含む21カ国が議論する。韓国外務省当局者は26日、「日本が全体の歴史の反映を約束した」として、登録を容認する方針を示した。
国内の世界文化遺産は2021年の「北海道・北東北の縄文遺跡群」(青森など4道県)に続く21件目。自然遺産を含む世界遺産は計26件となる。
JIJI Press