
ベイルート:アメリカの元プロサイクリスト、ランス・アームストロングは日曜、爆発事故への自覚を促し、8月にレバノンの首都を襲った大規模爆発によって被害を受けた居住者を支援する団体の資金を集めるため、ベイルートで自転車ツアーを開催した。
レバノンがベイルート港で起きた爆発事故から2ヵ月を記念し、多くのサイクリストたちが「ベイルートの自転車」ツアーに参加した。ベイルート港では約3,000トンの硝酸アンモニウムが、8月4日の爆発以前の6年間備蓄されていた。この事故は、これまで記録された中で最大の非核爆発の一つとなった。
「今日はこの場所からツアーを開始します。実際に爆発が起きた場所からそう遠くは離れていないと思います」とアームストロングは港外で述べた。彼はこの自転車ツアーが、「レバノンの地域社会や事故の影響を受けた人々に、自覚を促そうと試みること」を目的としていると付け加えた。
この爆発で、193人が死亡し、約6,500人が負傷して数十億ドルの損害が生じた。爆発でベイルート市内の港湾施設と数千ものアパートが倒壊した。また、この爆発がきっかけでレバノンはここ数十年間で最悪の経済危機および金融危機に取り組むことになり、コロナウイルスの拡大で状況はさらに悪くなった。
その後、サイクリストの団体が港に入り、爆発が起きる前、硝酸アンモニウムが備蓄されていた場所にある巨大なクレーター付近を通過した。この後、彼らはベイルートでツアーを続行した。
このツアーが資金を集めている4つの団体の中には、レバノン赤十字と慈善団体のOffrjoieがある。
アームストロングは、ツール・ド・フランスを7連覇してレースを勝ち抜き、癌と闘ったことなどで、プロとしての経歴の中で世界中にファンを集めた。
しかし、アームストロングの評判は、彼がドーピング薬を使用したことが発覚し、数年前に突然崩れ落ちた。アームストロングは既に引退していたが、この自白によって世界で最も人気のあるスポーツ選手の一人の遺産は台無しになった。
日曜の午後、何百人もの人々が爆発事故から2ヵ月を記念し、港付近に集まった。町を壊滅させた爆発が起きた時間の午後6時7分に、人々は犠牲者の名前が書かれたたくさんの白い風船を放った。
犠牲者の遺族の中には、港付近の主要幹線道路を短時間封鎖し、調査結果を公表するよう要求した人もいた。
主に港の職員や税関職員である25人以上の人々が、これまでのところ拘留されている。調査担当の裁判官は、治安当局幹部、元閣僚、港の従業員らに事情聴取を行っている。