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愛に違いない:ぬいぐるみを治療する「クリニック」

創設者の箱崎菜摘美さんが、東京のなつみクリニックでかとうさんの羊のぬぐるみ、ゆきちゃんの修復を行っている。このクリニックは長年愛されてきたテディベアやぬいぐるみをかつての姿に修復し、ぬいぐるみに強い愛着を持つかとうゆいさんのような持ち主らを喜ばせている。かとうさんは羊のぬいぐるみをクリニックに持ってきた。(写真/AFP)
創設者の箱崎菜摘美さんが、東京のなつみクリニックでかとうさんの羊のぬぐるみ、ゆきちゃんの修復を行っている。このクリニックは長年愛されてきたテディベアやぬいぐるみをかつての姿に修復し、ぬいぐるみに強い愛着を持つかとうゆいさんのような持ち主らを喜ばせている。かとうさんは羊のぬいぐるみをクリニックに持ってきた。(写真/AFP)
2020年9月13日と18日に東京で撮影された、なつみクリニックでの修復「手術」前(上)と後(下)にテーブルに置かれたかとうゆいさんの羊のぬいぐるみのゆきちゃんの様子。(写真/AFP)
2020年9月13日と18日に東京で撮影された、なつみクリニックでの修復「手術」前(上)と後(下)にテーブルに置かれたかとうゆいさんの羊のぬいぐるみのゆきちゃんの様子。(写真/AFP)
修復「手術」中、東京のなつみクリニックのスタッフがかとうゆいさんの羊のぬいぐるみ、ゆきちゃんの皮膚を洗浄液に浸しているところ(写真/AFP)
修復「手術」中、東京のなつみクリニックのスタッフがかとうゆいさんの羊のぬいぐるみ、ゆきちゃんの皮膚を洗浄液に浸しているところ(写真/AFP)
東京のなつみクリニックでスタッフらがぬいぐるみの治療中(写真/AFP)
東京のなつみクリニックでスタッフらがぬいぐるみの治療中(写真/AFP)
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06 Nov 2020 01:11:26 GMT9
06 Nov 2020 01:11:26 GMT9

東京のとあるクリニックで、白いコートの女性が新しい患者の特徴を慎重に記録している。患者は羊の形をしたぬいぐるみだ。

なつみクリニックは長年愛されてきたテディベアやその他のぬいぐるみたちをかつての愛らしい姿へ修復するのが専門で、羊の「ゆきちゃん」をクリニックに持ってきたかとうゆいさんのような、ぬいぐるみに強い思い入れのある持ち主たちを喜ばせている。

「この子がクタクタになってしまったので、もう捨てるしかないのだと思っていたんですが、そういうぬいぐるみを何とかしてくれる病院があると聞いたんです」とこの24歳の女性はAFPに語った。

「ゆきちゃんは昔と全く同じにはならないかもしれませんが、元気な姿をもう一度見られるんじゃないかと思ってここに来ました」

このクリニックでは、「目の手術」や「髪の移植」、「傷口の縫合」まで様々な治療を提供しているのだと、クリニック創設者の箱崎菜摘美さんは説明した。

箱崎さんは故郷である北の都市、仙台で4年前にぬいぐるみの修復を始めた。それまでは衣服のお直しの仕事をしており、そこで顧客からよく大切なおもちゃを修復できないかと聞かれたのだ。

「お客さまはぬいぐるみを家族やパートナー、親友だと考えていたんです、ただの物ではなく。ぬいぐるみを修復したあとは、たくさんの方がぬいぐるみを抱きしめたり、大泣きしていらっしゃいました」と箱崎さんは言った。

この経験で、箱崎さんは専門の治療を提供するお店を開こうと考えるようになり、すべての動物たちがそれぞれの治療方法を与えられている。

羊のゆきちゃんの場合、箱崎さんはまず中の詰め物をとり除き、特別な洗剤入りのお風呂に入浴させた。箱崎さんはこれを「スパ」療法と呼んでいる。

クリニックでは治療の各段階で詳細な記録を取り、写真をオンラインに投稿して持ち主が記録を見られるようにしている。

箱崎さんは人々がぬいぐるみにどれほど強い思い入れを持ち得るかに気を配っており、ぬいぐるみたちが生きているように扱うことが大事だと考えている。

「とっても疲れてたみたいですね。リラックスして楽しんでください!」と、クリニックはゆきちゃんの入浴写真にコメントをつけた。

ゆきちゃんの状態がかなり悪かったため、実質的には0から作り直す必要があった。入浴によってゆきちゃんのぼろぼろの皮膚を元の状態に戻し、箱崎さんはそれを使って新しい布で型を作ることができた。

布を縫い合わせると、新しい詰め物を入れて全く新しいゆきちゃんを効果的に作り出すことができた。「心臓」を除いては。ピンクの布で心臓を作り、中には元の詰め物を少し入れている。
箱崎さんは、これをぬいぐるみの魂を新しい体に移植する方法だと考えている。

34歳の箱崎さんは2年前に事業を東京へ移し、現在は5人の「医師たち」と共に月に100体のぬいぐるみを修復している。
香港、台湾、フランス、イギリスからぬいぐるみたちが治療のために送られてくるため、持ち主らは予約を取るために最大1年待たなければならなかった。

治療にはだいたい10日間ほどかかり、クリニックのウェブサイトには回復した「患者たち」が一緒に「退院祝いパーティー」をしている様子の写真が掲載されている。

日本では大阪にもう1件だけぬいぐるみ修復の「クリニック」があり、治療費は傷の程度によって1万~50万(95ドル~4800ドル)ほどするにも関わらず、需要は高い。

ゆきちゃんの修復にかとうさんは10万円を支払ったが、かとうさんにとってこれは払う価値があったのだ。

この二枚の写真は、2020年9月13日と18日に東京で撮影された、なつみクリニックでの修復「手術」前(上)と後(下)にテーブルに置かれたかとうゆいさんの羊のぬいぐるみ、ゆきちゃんの様子だ。(AFP)

「私のゆきちゃんとの思い出はお金よりも大事なので、私は後悔していません」とかとうさんは言い、羊のぬいぐるみが「辛いとき」を切り抜けるのを助けてくれたことを振り返った。

「寝る前にゆきちゃんに話しかけて自分の気持ちを整理してたんですが、ゆきちゃんの前でよく泣いていたんですよ」とかとうさんは言った。

かとうさんはゆきちゃんのすかり変身した姿の写真を見てまた泣いてしまったけれど、今度は喜びの涙で、長年の友達を迎えに行ったときは嬉しかったと語った。

「本当に心の底から驚きました!…ゆきちゃんを初めて手にした時のようになっていました」とかとうさんは言った。

“She has a ‘heart’ of stuffing inside, so she has a new look but a part of the memory is still in her,” Kato added.「ゆきちゃんは詰め物の心臓を持っているから、新しい外見になっていても思い出の一部は今もゆきちゃんの中にあるんです」とかとうさんは付け加えた。

「私とゆきちゃんの思い出を持ち続けられてとても嬉しいです」

ぬいぐるみとの強い感情的な結びつきを口にする顧客は他にもいる。さのこうたさんは、40年の付き合いになる「らっちゃん」というラッコのおもちゃについて「かけがえのない家族の一員」だと表現する。

「仕事のプレッシャーを感じているとき、らっちゃんが助けてくれました…私を許して受け入れてくれるんです」とさのさんはAFPに語った。さのさんの妻や息子もこのラッコのぬいぐるみが大好きなのだそうだ。

さのさんは、おもちゃに対する愛情を恥ずかしく思うこともあると認めつつも、物にも魂が宿るという日本の古い言い伝えを口にした。

ぬいぐるみも「ただの物であることを超越して人格を得る」のだとさのさんは言った。

箱崎さんはそうした持ち主らのぬいぐるみに対する気持ちを理解している。

「父親が病気になったからってだれかと取り換えたりしませんよね。おもちゃだって同じなんです」と箱崎さんは言い、そうした結びつきはいろんなことに「共通」したものなのだと説明した。

「ぬいぐるみを家族の一員だと考える人たちは日本だけじゃなく、世界中にいますよ」

AFP

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