ダイアナ・ファラー、ドバイ
口腔ケアは我々の日常生活の重要な一部だ。しかし、大半の人々は自分の歯磨き粉の成分に しっかりと注意を払っていない。
日本のバイオテクノロジー企業である(株)トライフは、口腔衛生の重要性、とりわけ日本の高齢者層の口腔ケアの重要性に着目し、オーラルピースと呼ばれるプロジェクトを開始した。
オーラルピースは植物性食品由来の成分と水100%といった、飲んでも安全な天然成分から作られている。
アラブニュースジャパンの独占インタビューで、そのプロジェクトのエグゼクティブアドバイザーを務める加藤リョウジ氏は、この製品が初めて作り出された時のテーマは「グリーン、高齢化社会への貢献」であったと語った。
「しかしそれ以来、消費者からのリクエストに基づいて製品の幅が広がっていった」という。
加藤氏によると、この製品には基本的にグリーン、オレンジ、ミントの3種類のフレーバーがあるという。「オレンジフレーバーはほのかな甘みがあり、乳幼児や妊婦向け。ミントフレーバーはフレッシュなスポーツタイプで、若者層に好まれる」
オーラルピースの創設者兼CEO 手島大輔氏がこのプロジェクトを始めたきっかけは、父親が2012年に癌を患い、抗がん剤治療のために免疫力が低下して、口腔内のバクテリアによる様々な問題に悩まされたことだった。
公式ウェブサイトによると、手島氏の父親は口腔ケア用の合成防腐剤を飲み込んで胃をこわし、どんどん衰弱していったという。
オーラルピースは新たな研究調査をもとに、飲み込んでも安全で、かつ口腔内の問題を引き起こすバクテリアを殺菌するという、これまでにない口腔ケア製品を開発した。
オーラルピースの顧問がアラブニュースジャパンに語ったところによると、同社は「この製品はアルコールを含有せず、水の入手が難しい環境でも使用出来るため、アラブ世界に適している」と強調する。
そして、「日本では、地震などの災害時に水の供給がなくなるような状況下で緊急食品として利用されている。環境に優しく、自然でのアウトドア活動にも適している」と言い添えた。
オーラルピースのウェブサイトによると、ペット向けの口腔製品もあり、中国や香港などのアジア地域で販売されている。
「当社は大切な家族の一員であるペットのための口腔ケアの開発にも力を入れていく」と加藤氏は言う。「オーラルピースは家族の絆をその目的としている。ペットは我々の生活になくてはならない存在であり、人間と同様の口腔ケアが必要な家族の一員であるという認識のもとに、ペット向けのオーラルケア製品が開発された」
アジアの他、オーラルケアはチェコ共和国をはじめヨーロッパでも販売を始めている。しかし、フランスなどの西ヨーロッパではまだ販売は始められていないとのこと。
同社は中東・ペルシャ湾岸地域での販売も検討しているが、今のところその機会に恵まれていないそうだ。
このプロジェクトは、2015年に「日本ベンチャー大賞」、そして2017年に「グッドデザイン賞」など、数々の賞を受賞している。