
すしチェーン「すしざんまい」を運営する喜代村(東京都中央区)の木村清社長は26日までにインタビューに応じ、正月の風物詩となっている豊洲市場(江東区)のマグロ初競りに向けて意欲を示した。新型コロナウイルス感染拡大で景気が低迷し、同社も厳しい経営が続いているが、「初競りで一番おいしいマグロを買い、お客さんに安く食べてもらって元気づけたい」と前向きだ。
毎年1月5日に行われる初競りで、クロマグロを最高額で競り落とす常連の同社。豊洲市場の開場後初となった2019年、青森県大間産(278キロ)を3億3360万円で落札。築地市場時代の13年に自らが記録した史上最高値を2倍以上更新した。20年も大間産(276キロ)を1億9320万円で入手し、注目を集めた。
人気のマグロをめぐって繰り広げられる競りは、ライバル業者との真剣勝負。目当てのマグロを手に入れた木村社長は、想定外に跳ね上がったご祝儀相場に「ちょっと高いよね」と本音もぽつり。最高値マグロは、築地のすしざんまい本店で解体され、大トロ1個398円(税別)など通常価格で振る舞われている。
年明けの初競りを控え、「どんなマグロが集まるのか楽しみ。一番おいしいマグロを買いたい」と木村社長。コロナ禍での休業や時短営業により、売り上げが前年の約4割にまで落ち込んだ時期もあったが、「大変なのはみんな同じ。コロナに負けず、お客さんにマグロを安く食べてもらって元気づけたい」と思いを語る。
一方で初競り直後の店での密集を避けるため、「(初競りで最高値を付けた)一番マグロに匹敵するクロマグロを元日から5日まで全店で用意する」と、来店日の分散を促す工夫もする。
同社は現在、全国に58店を展開。11月以降に東京都新宿区と広島市にオープンした2店では、大衆向けのメバチマグロやサー
モンなど9種類のにぎりずしに限り、同社最安の1個60円(税別)で提供を始めた。木村社長は、店内のコロナ対策を徹底した上で「ねたの品質は落とさず、よりリーズナブルな値段ですしを楽しんでもらいたい」と話している。
JIJI Press