ハゼム・バロウシャ
ガザ市:ラマダン期間中、イフタールの食事をするためガザでは多くの家族がビーチに集まる。ビーチでは新鮮な空気を吸い、波の音を楽しみ、夕日を眺めることが出来る
地中海沿岸に位置するガザ地区は、人口約200万人。
近年、沿岸部にカフェテリアが姿を見せはじめた。カフェでは家族連れが食事を持ち込み、わずかな料金を支払いテーブルとイスを利用できる。海を眺めながら食事を楽しむのだ。
ムハンマド・アイドヤ氏(45歳)と彼の7人の家族は、ビーチ近くのテーブルに座り、日が沈むのを待ち、断食が明ける前にマグリブ礼拝を行う。
「今年は、ラマダンは比較的寒い天気となりましたが、例年はもっと暖かだったんですよ」と彼はアラブニュースに語った。
「私はラマダン月の間に少なくとも10回は海辺のこの場所へイフタールのために来ました。(中略)空気は新鮮で、家族で楽しみます。子供たちは遊び、家から持ってきた美味しい食事(を楽しんでいます)」
近くのテーブルでは、3歳の子供を連れた若い夫婦が、断食明けを前に食事を用意している。
「今日は天気がいいから外で食べようと思って」と主婦のラウィヤ・タフェシュさん(25歳)。「レストランでテイクアウトして、皆で食べようとここに持ってきたんです。息子は遊びまわってますけどね」
タフェシュさん一家は高級レストランで食事をする余裕がないため、より手頃な価格のテイクアウトフードを買って、景色の良い海辺で食べることにしたのだ。
「私たちの月収は限られています」タフェシュ氏は言った。「楽しみを否定はしませんが、食事に大金は払えません。(中略)ああいう高級レストランでは食べません。そういう場所よりもここで食べる方が多いですね」
ガザ地区のレストラン、特に高級レストランでは、毎日イフタールのビュッフェが企画されているが、ほとんどの場合、富裕層と一部の中流階級の住民にしか手が届かない。
ハムディ・アル・オワイイ氏(39歳)は、ガザのビーチでカフェテリアを経営している。
「ラマダンの期間中、イフタールのためにビーチでテーブルとイスを貸し出しています」と彼は言う。「寒さのため、今年は昨年より需要が減少しています」
「ここでは費用を安く抑えられます。家族で払うのは10~20シェケル(3~6ドル)程度。料金は人数に応じて変わります。彼らは食べ物や身の回りの物をすべて持参し、望めば明け方まで座っていることができます。これはガザ地区に住むほとんどの人が利用可能なんです」
中には共に充実した時間を過ごそうと、食事する場所を借り、家から食べ物を持ち込んで、ビーチで親戚を大勢招く食事会を企画する家族もある。
「妻と私はラマダン期間中に兄弟姉妹を招待することにしたのですが、人数が多いため、自宅ではなく外で宴席を設けることにしました」と、アブドゥラ・アル・サアディ氏(47歳)は語った。
「開放的な空間で、家庭的な雰囲気を味わうことができます。子供たちもこの場所で遊べるし、家の中で(大勢の人と)いるのに比べれば騒音も少ない。女性たちはお互いに話をしたり、いい雰囲気の中で浜辺を歩いたりして楽しみます」
「ラマダンは、良い行いをするだけでなく、大切な人に会う機会でもあります。ラマダン中は、大家族のメンバー同士が顔を合わせ、食事やお菓子を食べたり、他にもラマダン中以外にはできないラマダンの遊びをしたりします」