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イスラエルの攻撃激化、ガザ最大の病院の遺体安置所を圧迫

イスラエルの空爆による犠牲者の遺体の傍に立つ人々。2023年10月12日、ガザのアル・シファ病院の遺体安置所の外。(AFP)
イスラエルの空爆による犠牲者の遺体の傍に立つ人々。2023年10月12日、ガザのアル・シファ病院の遺体安置所の外。(AFP)
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13 Oct 2023 01:10:44 GMT9
13 Oct 2023 01:10:44 GMT9
  • 「納体袋がひたすら増えていくばかりで、まるで墓場です」と看護師は語った

ガザ:イスラエルが人口230万人のガザ地区に激しい空爆を開始して6日目の12日、親族が引き取りにくるよりも遺体が運び込まれるペースのほうが早く、ガザ最大の病院の安置所は遺体を収容しきれなくなっている。

前代未聞のハマスの攻撃後、イスラエルの猛攻で毎日何人ものパレスチナ人が殺害されている。包囲された飛び地の救護員は、先日の襲撃の後で掘り出したり、破壊された建物の下から回収したりした遺体を安置する場所がなくなってしまったと訴えた。

ガザシティにあるシファ病院の遺体安置所で扱える遺体は一度に30体に限られるため、作業員は、ウォークインクーラーの外に遺体を3体ずつ積み上げ、さらに数十体を駐車場に並べざるを得なくなった。

シファの看護師のアブ・エリアス・ショバキ氏は、駐車場の状況について、「納体袋がひたすら増えていくばかりで、まるで墓場です」と語った。「精神的にも肉体的にも疲れ切っています。これからどれだけ悪化するのか、考えないようにするしかありません」

過激派組織ハマスがイスラエルの厳重な分離壁を突破し、残忍な襲撃によって1,200人以上のイスラエル人を殺害してからほぼ1週間、イスラエルはおよそ10年ぶりにガザ地上侵攻に踏み切る可能性に備えている。地上攻撃が行われれば、すでにイスラエルとハマス間の過去4回の血戦の犠牲者数を上回っているパレスチナ人の死者数はさらに増えると考えられる。

すでに、長い間封鎖されているこの領地では、膨大な数の遺骨が、医療体制を圧迫している。ガザの病院は平時でも物資が不足しているが、今ではイスラエルが国営水道会社の水道を止め、沿岸飛び地への電力、食料、燃料の供給も阻止している。

「危機的状況です」と、ガザ保健省の報道官アシュラフ・アルキドラ氏は訴えた。「救急車は負傷者のもとへ向かうができず、負傷者は集中治療室に行くことができず、死者は遺体安置所に入ることができません」

裸足や、血まみれの腕が突き出た白い納体袋の列は、ガザに対するイスラエルの報復のスケールと激しさを浮き彫りにした。

ガザ保健省によると、イスラエルのガザ作戦で近隣地区全域が制圧され、1,400人以上が殺害された。その60%以上が女性と未成年者だという。また、ガザの人口の15%にあたる34万人以上が避難している。

イスラエル軍は、ハマスの武装インフラを攻撃しているのであり、民間人の犠牲を避けるのが目的だと説明しているが、パレスチナ側はこれを否定している。

物資が減少する中、これらの死者と6,000人以上の負傷者がガザの医療施設を圧迫している。

シファの総責任者のモハマド・アブ・セリム氏は、「いかなる状況下でも医療の提供を続けるということは不可能です」と言った。「患者は今、路上にいます。負傷者が路上にいます。彼らのためのベッドがありません」

12日、ガザシティのすぐ北にある地中海沿岸のシャティ難民キャンプが激しい爆撃を受け、さらに大勢の人の波が病院施設に流れ込んだ。包帯を巻いたあざだらけの幼児、間に合わせの止血帯をつけた男性、顔に血がこびりついた少女などの負傷者だ。シファの集中治療室は満員だったため、負傷者の一部は病院の廊下で、スタッフや担架が通れるように壁にぴったりと押しつけられて横たわっていた。

さらに悪いことに、11日にはガザ唯一の発電所で燃料が枯渇した。シファなどの病院施設は、予備発電設備に残っている軽油を少しでももたせようと、電気が不可欠な集中治療室、手術室、酸素ステーションを除き、病院内の全部門の照明を消している。

シファ病院の責任者のアブ・セリマ氏は、病院に残っている燃料も、3、4日以内になくなるだろうと語った。

そうなれば、「5分で大惨事になる」と同病院の新生児部門責任者のナセル・ボルボル氏は述べた。乳幼児の生命維持のためにあらゆる酸素装置が使われているからだ。

病院当局によると、遺体を冷蔵保管するための電気も残っていないという。

AP

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