• アントニオ・グテーレス氏は、豊かな国がワクチンを買いだめし、貧しい国がワクチンを受け取れない「ワクチン・ナショナリズム」は自滅的な戦略だと述べた
• 世界の死者数が200万人に達したことを受けて公開されたビデオメッセージでグテーレス氏は、「新型コロナウイルス感染症に1か国ずつ打ち勝つことはできない」と述べた

Ephrem Kossaify

ニューヨーク：国連のアントニオ・グテーレス事務総長は金曜日、コロナウイルスによる危機を終わらせるための取り組みにおける世界的な連携の欠如は、パンデミックを長期化させ、特に貧しい国々でより多くの死者を出すだろうと警告した。

世界的な新型コロナウイルス感染症の死者数が「胸が痛むような」200万人という節目に達したことを受けて公開されたビデオメッセージで、同氏はパンデミックとその死のサイクルを終わらせるために各国がより緊密に連携するように訴えた。

2019年12月にこの感染症が出現してから昨年9月末に死者数100万人という最初の「恐ろしい節目」に到達するまで10か月かかった。死者数は現在、それから4か月足らずで倍増している。

人的被害に加えて、パンデミックはほぼすべての国の経済に大惨事をもたらした。多くの人々が仕事や生活手段を失い、何百万人もの人々が世界中で貧困と飢餓に追い込まれている。

グテーレス氏は、膨大な200万人という数字の背後には、家族から奪われた実在の人々の名前と顔があると述べた。

「笑顔は今では記憶に過ぎず、食卓の席は永遠に空っぽになり、愛する人の沈黙がこだまする部屋になってしまった」とグテーレス氏は述べ、「200万人の魂を偲びながら」より強固な国際的連帯を呼びかけた。

安全で効果的なワクチンが承認され、接種が始まった中、国連は史上最大の世界的な予防接種活動を支援している。グテーレス氏は、ワクチンが世界の公共資源である「人々のワクチン」として扱われることを保証するために、国連が尽力していることを強調した。

このことを念頭に置いて、グテーレス氏は、ワクチンの開発、生産、公平な配布を加速させ、ワクチンへの公平なアクセスを確保することを目的とした世界的な協力行動であるACTアクセラレーターと、最も切実にワクチンを求めるすべての人々にワクチンを確実に届けるために活動している64の高所得国が参加するイニシアチブであるCOVAXファシリティへの全面的な資金提供を求めた。COVAXファシリティは、昨年3月のG20指導者たちの呼びかけに応じて設立され、翌月にはWHOと、EU、フランス、英国、カナダ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などのパートナーによって立ち上げられた。

「世界の主要経済国には特別な責任がある」とグテーレス氏は述べ、豊かな国々がワクチンを買い占め、世界の最貧国にワクチンが行き渡らない「ワクチン空白」を生み出しているとして非難した。一部の国は「裏取引きを画策し、必要以上にワクチンを調達していることさえある」とグテーレス氏は付け加えた。

すべての政府には国民を守る責任があるが、グテーレス氏はこのような「ワクチン・ナショナリズム」に傾倒することは自滅的であり、世界的な回復を遅らせることになると警告した。

「新型コロナウイルス感染症に1か国ずつ打ち勝つことはできない」と同氏は付け加えた。

国連事務総長は、医療システムの崩壊を防ぐために緊急を要する問題として世界中の医療従事者がワクチン接種を受けられるように、また、人道支援に携わる人々やハイリスクグループの人々を含むパンデミックとその影響との戦いの最前線にいる人々が優先して接種を受けられるように、余剰分のワクチンを共有するようすべての国に呼びかけた。

新型コロナウイルスが多くの国で制御不能のスパイラルに陥り続ける中、グテーレス氏は注意を促し、社会で最も脆弱な人々を保護し、感染の拡大を遅らせるために予防措置を講じるよう、すべての人に呼びかけた。

「科学が新たな希望の道を切り拓き続ける中、マスクを着用し、物理的に距離を置き、人ごみを避けるなど、お互いを安全に保つための単純で効果が証明された手順を忘れないようにしよう」と同氏は付け加えた。