

カイロ:中東・北アフリカ(MENA)地域はビジネスや娯楽イベントの開催地として常に高い人気を誇ってきた一方で、多くのスタートアップ企業がテクノロジーの力を通して同業界を次のレベルへ押し上げようとしている。
今年これまでにサウジアラビアの娯楽庁は、現地の娯楽分野を改革するための新たな戦略プランを発表した。2019年度は5,000件以上のイベントがスケジュールされており、今後10年で予測される投資は640億ドルを超える。
この計画は、2030年までに石油から脱却して王国の経済を多様化させることを目的とする、より幅広い動きの一部である。
イベントと娯楽関連の観光産業は、この野心的な経済改革において重要な役割を果たすと期待されている。
しかしながら、同分野の活況はこの地域にとって新しいことではない。UAEはビジネスイベントや娯楽のための観光旅行で最も人気のある目的地として、自らの地位を確立してきた。一方でより多くのMENA主要経済諸国が、盛況なイベント産業をなんとかして取り入れるための経済プランを実施している。
同地域のスタートアップ企業は、デジタルエコシステムを発展させることでこの分野の進化に投資すると同時に、イベント主催者が出席者の期待にかなう体験を提供できるようにしている。
それがチケットの購入を簡単にすることなのか、イベントへのチェックインを効率化することなのか、あるいは地方のイベント主催者が従来から直面してきたその他の多くの問題に対処することなのかに関わらず、それらのスタートアップはテクノロジーを活用してイベント管理の基準を引き上げている。
「結局のところ、出席するイベントの出演者以外の部分が標準以下であれば、最高の出演者を呼ぶこともできません」と、イベントのプランニング・発見アプリ「HalaYalla」を開発したデジタル体験デザイン企業「UXBERTラボ」でユーザー体験研究マネージャーを務めるファルーク・バンディは言う。
2014年にバンディとナディーム・バフシュによって設立されたこのサウジのベンチャー企業は、同国の娯楽シーンの主導権を握るために誕生し、まずはジッダ・シーズンの一連のイベントのための公式チケット発行アプリとなった。
HalaYallaは一連のイベント管理機能の他、主催者向けライブイベント分析・報告機能も提供する。また、現地の関係当局と連携して、同プラットフォームを通してチケットを購入する海外のイベント出席者が、観光ビザを申請できるようにもする。
政府の信頼獲得が同社にとって大きな節目となった一方で、それは挑戦でもあった。同社チームの能力の真価が最初に問われたのは、サウジアラビア初のバロットイベント「バロット・チャンピオンシップ」のための登録システムを扱った時だった。バロットは、湾岸協力会議加盟諸国で人気のカードゲームである。
2018年10月に開催されたこのイベントには、85,000人以上のプレイヤーが登録して競い合った。
多くの人からMENAのイベント業界における最も古い破壊者と見なされているイベンタス社は、2012年にエジプト人の二人組マイ・メドハットとニハル・フェアズによって創設された。同社は地元や海外の著名なベンチャーキャピタルからの投資によって、数百万ドルの支援を受けている。
イベンタスがその取り組みにおいて秀でていた市場は、イベント主催者に対するカスタマイズしたアプリの提供だった。このアプリは、125ヶ国以上で200万人の起業家たちを支援するコミュニティの年に一度の会合「スタートアップ・グラインド・グローバル・カンファレンス」など、数々のフォーラムで大当たりした。