






アシール・バーラヒール
ジェッダ: 「エンプティ・クォーター」(空虚な一角)と呼ばれる世界最大級の砂漠の端に佇むナジランの街は、史跡や過去何世代にもさかのぼる物語を求めて訪れる観光客が増加するにつれ、サウジアラビアで最も有望な観光地へと急速な成長を遂げている。
この砂漠は季節風が落ち着く11~3月にはハイカーや自然愛好家にとって魅力的な冒険の場所となるが、より快適な道路の旅を好む人もいるかもしれない。
この広大な砂漠はアル=アリド山脈自然保護区からヤダマ県の高地ウルク・アル=ムンダフィンへと広がる。
砂漠固有の植物を擁するこの自然保護区はアラビアオリックス、アラビアアカギツネ、ダチョウ、コウジョウセンガゼル、アラビアオオノガンなどの砂漠の絶滅危惧種の聖域とされている。
観光ガイドのモハメッド・アル=ムスタニルはアラブニュースに対し、豊かな社会的伝統や砂漠での生存スキルを誇るベドウィンは観光客にとって大きな魅力だと語った。
「ラクダの放牧は今もベドウィンを特徴づける営みです。ベドウィンはウルク・バニ・ザバダからハムラ・ナティルにわたる砂漠でラクダの世話をしています」
アル=ムスタニルによると、この2年間にナジランを訪れた観光客らはエンプティ・クォーターとヒマの井戸の遺跡を最も重要な目的地に挙げたという。
「エンプティ・クォーターが他の砂漠と一線を画すのはその砂丘の色や形、高さです」とアル=ムスタニルは語る。
アル=ムスタニルのツアーはエンプティ・クォーターの最寄り地点、空港から15キロのウルク・バニ・ザバダから始まる。ここの砂漠は高さ80メートルにもなる。
もうひとつ人気のスポットはナジランから400キロの、シャルラのハムラ・ナティルだ。「ここは砂漠で重要な牧草地で、豊かな草原と古い井戸を目当てにラクダの所有者がよく訪れます」とアル=ムスタニルは言う。
4年前にナジランを訪れたジェッダのプロジェクトコーディネーター、リーム・アル=アブダリは、「姉と一緒に国中の観光地を巡りました。ナジランは史跡や遺跡、山の岸壁の碑文、古城、美しい滝の公園などで最も印象に残っています」
もっと砂漠を探検し、サウジの民の豊かな歴史遺産を見たいと望む人が増えることで、ナジランは間違いなく観光地として栄えるだろうとアル=アブダリは考えている。
「残念ながらエンプティ・クォーターには寄れませんでした。今後行ってみたいですね」とアル=アブダリは言う。「観光業への投資により、海外だけでなく国内からの観光客も増えると思います」
一般的にこの砂漠は完全に孤立していると思われがちだが、実はそうではない。古代からこの地域は遊牧民ベドウィンの棲み処であるとともに、イエメンからのキャラバン貿易のルートにもなっている。
その豊かな歴史の証は、アル=ミンカリやウンム・アル=ワハトの砂漠の古い井戸とともに、キバシュ県から100キロ以上離れたカトマの井戸にも見られる。
これらの井戸は南から北へと旅するいくつものキャラバンを見てきた証人である。干上がった湖の残骸もこの地域のかつての生物多様性を示すものだ。