
アリ・カリド
リヤド:赤旗と共にレースの途中終了を意味する遅いセーフティーカーが走り、エンヴィジョン・ヴァージン・レーシングのロビン・フラインスと、DSテチーターのジャン=エリック・ベルニュを後ろにしてリードしながら、ジャガーレーシングのサム・バードはダブルヘッダーのディルイーヤE-Prix、第二回戦で優勝した。
ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が見守る中、それは2020-21年フォーミュラEシーズン最初の週末を締めくくる、投光照明の下で行われたディルイーヤ二回目のレースであった。
25ポイントのバードは金曜の勝者、メルセデス・ベンツEQのニック・デ・ブリーズに現在4ポイントで後れをとっている。またジャガーレーシングもメルセデスを7ポイント上回って、チームチャンピオンシップを先導している。
「車の中で少し感情的になっていました、」とついにフォーミュラEの7シーズン全てで優勝したバードが語った。
「家族だったエンヴィジョンを去ることは、私にとって大きな方向転換、大きな一歩で、彼らは6年間とても良くしてくれました。参加した新しいチームでも私を心から歓迎してくれました。最初はこの先どうなるか不安でしたが、素晴らしいチームにやってきました。皆気の良い人たちです。もう私の家族なので、今日結果を持ち帰ることができるのがひたすらに嬉しいです」
これはバードにとってジャガーレーシングで初、フォーミュラEでは10回目となる勝利だったが、彼はレースが見かけほど単純ではなかったと明かした。
「まず言いたいのはロビンがとても礼儀正しかった事、本当に対戦できて光栄でした、」と彼は言った。「もっている力量に対して期待を裏切らない男です。そして最高に楽しかった」
準優勝者は一部の戦略的決定が上手くいかず当てが外れたが、依然として全体的な結果に関しては満足であった。
「良い対戦ができましたが、残念ながらフルコースイエローの直前にアタックモードに入った事が結局助けとはなりませんでした、」とフラインスは語る。「あれはレースにおける賭けのようなものですが、昨日のあれだけ難しい勝負の一日の後で最終的に表彰台で2位に終われるなら、私は絶対賭けますね」
その日は前日の準優勝者、RokiTヴェンチュリーレーシングのエドアルド・モルタラのスロットルがロックされてブレーキが使えなくなり、深刻な事故に巻き込まれるという劇的な形で始まった。バリアに激突した後、彼は病院で検査を受けた。
幸いなことに、このスイス人ドライバーはディルイーヤサーキットに戻れる程度には元気だったが、最終的にレースは欠場しなければならなかった。
「より深刻な結果でなかった事が幸いです、」とモルタラ氏は言った。
「良い感覚ではなかったです、あれは忘れたい感覚です、」と彼は付け加えた。「少し助手席にいるかのような気分を味わいました。何もできず、ブレーキも効かず、ただ壁に突っ込んだのです。あれがもう私にとって終わりだと思いました。とても良い感覚ではありません」
初日はグリッドで17位からスタートしたフラインスは、セルジオ・セッテ・カマラ(ドラゴン・レーシング)と2位でポールポジションにいた。金曜日にアレックス・リンと衝突したバードとチャイナ・レーシングのトム・ブロンクビストは2列目で3位と4位であった。
人気のドライバーの大半と、初回レースの首位がグリッドの後ろに追いやられたことで、観戦者達にとってこれは更なる熱狂をもたらした。
セッテ・カマラの残念な走り出しがバードに最初のターンで追い越しを許し、レースの45分(加えて1周)が迫ると、先頭の2人が後方から追い上げてくる群れから離れ始めた。
8周目になるとバードはフラインスからわずか0.500秒の遅れで、前のイギリス人ドライバーからは2秒以上遅れていた。2周以内にはバードがリードしていたが、アタックモードを有効にしたことでフラインスが14周目にリードを取り戻した。
レースが半分となった所でDSテチーターのジャン=エリック・ベルニュが前の二人に挑戦すべく狙いを定めて三位に移動してきた。だがセーフティーカーではなく、彼とバードの間の4秒差を埋められない事を意味するフルコースイエロー(FCY)が出る。
現状のチャンピオンであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがチームメートのべルニュと衝突しかけた時、争いが3位と4位で展開していた。これにより何度もリードを二人の間で取り合ってきたフラインスとバードに、残り15分でそのリードの維持を許す事となった。
だが28週目が終わり、残り8分強となった頃、マキシミリアン・ギュンター(アンドレッティ・オートスポーツ)がアレックス・リンに衝突し、その日初めてのセーフティーカーが現れた事で間隔が帳消しとなった。
再スタートは無く、レースはバードを首位としてフラインス、ベルニュ、そしてダ・コスタが続いた。
前日の劇的な展開の後では、フォーミュラEシーズン初の週末にとっては迫力に欠ける終わりであった。