
東京:他の演劇の開始時と同じように照明が暗くなると、観客は前屈みになり、パフォーマーが踊り出すと、自分の前にあるドアの郵便受けまたはのぞき穴を通して鑑賞する。
日本のダンスカンパニー「月灯り移動劇場」は、ソーシャルディスタンスを保ちながら、彼らの前衛的なパフォーマンスを観客に再び見てもらう新しい方法を考案した。
観客はステージを囲むパーディションで仕切られた個室のスツールに座る。それぞれの個室にはドアと郵便受けがあり、観客は郵便受けを通してダンサーを見ることができる。
「小さな穴や郵便受けに似たスロットを意図的に作りました」と、劇場の芸術監督兼振付師である浅井信好氏は語り、見える範囲を制限することで観客がどれほどパフォーマンスに夢中になるかを説明した。
この劇場会社は、パンデミックのために昨年のほとんどの公演を中止した末、12月にこの「のぞき穴」を使った鑑賞を開始した。 12月以降、12回の「のぞき穴」公演はすべて完売となった。
この反響は心強いものであったが、毎回の公演で観客は30人しか入場できない。会場の消毒といった追加の安全対策を含めると、これでは公演のコストをカバーできない。政府の給付金は会社の採算合わせにほとんど役立たない。
浅井氏はその難しさを認めながら、この発想のメリットに確固たる思いがある。
「これをしなければ、アーティストは踊ったり演じたりする機会を失います。観客を劇場に呼び戻すためのモデルとして、このやり方を提案したいと思っています」と彼は語った。
ロイター